デジタルアイデンティティとAML
注意事項:当文書は、星暁雄が個人的な関心から表記の情報を書きとめたものです。予告なしに内容が更新される場合があります。
■FATF Private Sector Consultative Forum, Vienna, 6-7 May 2019
2019年5月6〜7日にかけてのウィーンにおけるFATF民間セクター諮問フォーラム
"Digital ID"の項目の仮訳:
AML/CFT (マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)の目的を達成するためのイノベーティブな技術の責任ある利用を支援するため、FATFは、FATF Recommendations 10顧客デューデリジェンス(CDD=KYC)を実施するためのデジタルアイデンティティの利用に関するガイダンスを策定している。参加者は、識別と検証のために 「信頼できる独立した(reliable and independent)」 情報源を使用するという要件が、技術的なデジタル・アイデンティティ基準との交差を含め、政府や民間セクターによって提供されるデジタル・アイデンティティの文脈においてどのように解釈され得るか、また、AML/CFTリスク管理の枠組みの文脈においてどのように解釈され得るかについて議論した。民間セクターからのインプットは、金融包摂の拡大、国境を越えた金融サービスのより効率的な提供、ML/TF(資金洗浄・テロ資金供与活動)のより効果的な検知といったデジタルアイデンティティの利点とリスクを強調した。FATFによる2019年6月の議論を待つ間、この問題に関する民間セクターのインプットの更なる機会がある。
■CoinDesk/MIT Digital Currency InitiativeアドバイザーのM. J. Casey氏のコラム
「FATF、Bitcoin、金融排除がもたらす間違った結果」
Michael J. Casey, "Perverse Outcomes: FATF, Bitcoin and Financial Exclusion", CoinDesk, Jul 29, 2019
デジタルID文脈での内容:
FATFが求める厳格なKYC(本人確認)は、政府IDなどが整備されていない国々で「金融排除」として機能している。FATFで議論されている「民間部門が提供するデジタルID」が希望になるかもしれない。
■金融庁主催イベント"BG2C"および、マルチステークホルダーによるブロックチェーン規制の取り組みBGINの場で、「アイデンティティ」に言及(星の取材ノートから)
(1) 2020-3/6に実施した1回目の記者ブリーフィングから、金融庁 フィンテック室長 三輪純平氏の発言
「ステーブルコインやLIbraでもマルチステークホルダーの議論は必要。FATFのルールなりプライバシー、IDをどう確保していくか」
(2) 2020-3/10に実施した2回目の記者ブリーフィングから。
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究家 特任教授 鈴木茂哉氏の発言
「将来のブロックチェーンのソフトウェアスタックに共通部分が出てくる。その中でひとつの話題としてアイデンティティ、個別のどのエンティティが使っているのかを識別することを考えたとき、共通の識別基盤があれば使いやすくなる」
(3) 3/10に、金融庁の遠藤長官らが参加したパネルディスカッション「新たな分散型金融の世界を見据えたマルチステークホルダープラットフォーム -ガバナンス新時代の到来-」から。
松尾真一郎 米ジョージタウン大学 研究教授「G20後に開催したワークショップでも、LocalBitcoin、アイデンティティ、FATF、いろいろな論点が出た」