腸管神経系
腸管神経系 enteric nervous system
食道から肛門までの消化管壁、膵臓や胆嚢・胆道系の壁内に内在する神経ネットワーク
腸管神経系のみで反射弓が構成される
消化管運動、粘膜における水や電解質の輸送などの制御を、中枢神経系を介さず自律的に行える
内在性一次求心性神経で消化管の機械的・化学的刺激を感知し、介在ニューロンを介して運動ニューロンが消化管運動を制御する
構成するニューロン数は脊髄に匹敵する(4億から6億)1.1
第2の脳とも呼ばれる
自律神経系とも連絡している
遠心性自律神経により修飾を受ける
求心性自律神経も含まれていて、消化管からの情報を中枢神経系に伝える
神経節、その間を結ぶ神経線維、および粘膜上皮や小動脈などへ投射する神経線維からなる
神経節には神経細胞とグリア細胞が存在
グリア細胞も消化管機能の調節に関わっていることがわかってきた
https://gyazo.com/d31f64e603828554b598f0413fcb0cc6 1.1
筋層間神経叢(赤)は食道上部から内肛門括約筋に至る消化管全域に分布する。
粘膜下神経叢は主に小腸と大腸に分布する。
孤立神経節は胃や食道の粘膜下と消化管全域の粘膜下に存在する。
筋層間神経叢(Auerbach's plexus or myenteric plexus)
消化管運動を担う縦走筋と輪走筋との間に位置する
主に消化管運動の制御に関与する
粘膜下神経叢にも神経線維が連絡しているため、粘膜上皮の電解質や水の輸送などにも関与している
粘膜下神経叢(Meissner's plexus or submucosal plexus)
粘膜と輪走筋との間の粘膜下組織に存在する
小腸と大腸にのみ認められ、食道や胃では観察されない
粘膜上皮における電解質や水の分泌制御、粘膜に存在する小動脈の血流制御などに関与している
両者は互いに連絡している
副交感神経系(迷走神経や骨盤神経)や交感神経系(血管運動神経など)とも連絡している
https://gyazo.com/615a867c2a4cb51a51d396df9cea6bdb
小腸壁に存在する神経叢
(メルボルン大学 J. B. Furness教授の好意により掲載)
A: 消化管壁の模式図
B: 横断図
1. 腸管神経系 - 脳科学辞典:すごく詳しい
1.1. The enteric Nervous System (J. B. Furness)