意匠法の目的
1.意匠法の目的とは意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もって産業の発達に寄与することをいう。(意匠法1条) 2.
意匠とは物品の美的外観である(意匠法2条1項)。そして、斬新な意匠はその視覚的効果により市場において物品の需要を喚起し、物品生産活動を活発にして産業発展に貢献する。 また、機能的な意匠は同時に技術的にも優秀であることが多く、産業発達に貢献する。さらに、生産財の優秀な意匠は生産能力を向上させ、産業発達に貢献する。加えて、美的外観であるため模倣・盗用されやすい意匠を保護することは不当競争を防止し、産業の健全な発達を促進させる。
そこで、法は意匠のもつ機能・物質に着目し、これを保護することにしたのである。
ここで、法が頭脳労働の結果としての創作を保護する点では、特許法などと同様である。しかし、特許法などが自然法則を利用した技術的思想の創作を直接保護しているのに対し、意匠法は具体的な物品の美感の面からアイデアを把握し、これを保護しようとするものである点で保護の方法が異なる。
この保護とは、独占排他権を付与することであるが、意匠は美感を本質とし、流行性・模倣性が大きいという特質をもつため、他法にない特有の制度による保護がされている。
反面、すぐれた意匠はだれもが実施したがるので、利用との調和が図られている。但し、意匠には技術の累積的進歩を図る性質がないので早期公開による文献的利用の側面はない。
以上のように、意匠の保護・利用を通じ意匠創作の奨励をして産業発達に寄与していこうとするのが意匠法である。
意匠法の目的