商標法の目的
1. 商標法の目的とは、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することである。(商標法1条) 2. 商標は、業務を行う者が自他商品・役務を識別するために自己の商品・役務について使用する標章である(商標法2条1項)。 その本質は、自他商品識別力であり(商標法3条)、これに基づいて出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能が発揮される。 そして、このような機能を発揮する商標を多量の商品・役務に継続的に使用することで、商標に業務上の信用が化体する。この信用は経済的価値を有するので、商標使用者は、自己の商品・役務に使用される商標に細心の注意を払い、不正競業者の使用を排除せんとする。
これを法的に保護せんとするのが商標法であり不正競争防止法である。商標法は、商標権の設定という国家の行政処分を媒介として、未然に競業を排除せんとする点で後者と異なる。
商標を保護して経済秩序を維持することは、取引の安全を図り、ひいては需要者の保護にもなり、同時に産業の発達にも貢献することとなる。
このようなことから、商標法は、産業の発達、需要者の利益保護も目的とすることとしている。