ステーキの提供システム事件:いきなりステーキ事件
特許第5946491号
【請求項1】
お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備えることを特徴とする、ステーキの提供システム。
訂正後
お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。
ステーキの提供システム異議事件
なお、2018年3月現在、本件異議の決定に対し、出訴されている。 出訴事件番号(平29行ケ10232) 出訴日(平29.12.26) 知的財産高等裁判所 第2部
異議の決定
異議2016-701090
東京都墨田区吾妻橋3-3-2
特許権者 株式会社ペッパーフードサービス
東京都練馬区南大泉5丁目33番4号 岩根特許事務所
代理人弁理士 岩根 正敏
神奈川県横浜市保土ヶ谷区宮田町三丁目303番4号
特許異議申立人 柿内 一浩
神奈川県横浜市中区住吉町4丁目45番1 関内トーセイビル▲II▼7階
代理人弁護士 仁平 信哉
神奈川県横浜市中区住吉町4丁目45番1 関内トーセイビル▲II▼7階
代理人弁護士 田野 賢太郎
神奈川県横浜市中区住吉町4丁目45番1 関内トーセイビル▲II▼7階
代理人弁護士 田中 佐知子
特許第5946491号 発明「ステーキの提供システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結 論
特許第5946491号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~6]について、訂正することを認める。
特許第5946491号の請求項1~6に係る特許を取り消す。
理 由
第1.手続の経緯 特許第5946491号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成26年6月4日に特許出願され、平成28年6月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人柿内一浩により特許異議の申立てがされ、当審において平成29年3月10日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である同年5月9日付けで意見書の提出、及び訂正請求がなされ、同年6月19日付けで特許異議申立人柿内一浩から意見書が提出され、当審において同年7月31日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、その指定期間内である同年9月22日付けで意見書の提出、及び訂正請求がなされたものである。
第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
特許請求の範囲の請求項1の
「お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備えることを特徴とする、ステーキの提供システム。」を、
「お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。」(下線は審決で付した。以下同じ。)と訂正する。
2.訂正の適否についての判断 訂正事項は、計量機、及び印しに関して、具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項は、願書に添付した明細書(段落【0012】、【0013】)に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。
3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項[1~6]について訂正を認める。
第3.当審の判断
1.訂正後の請求項1~6に係る発明
特許第5946491号の請求項1~6に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明6」という。)。
「【請求項1】
お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。
【請求項2】 上記お客様の要望に応じてカットした肉を焼くためのガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火と、該ガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火で焼いた肉を保温するための電磁誘導加熱により所定温度に加熱された鉄皿とを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のステーキの提供システム。
【請求項3】 上記お客様を案内するテーブルに置かれた多数のフォークとナイフを更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のステーキの提供システム。
【請求項4】 上記お客様を案内するテーブルに置かれた温かいステーキソースが入れられたポットを更に備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のステーキの提供システム。
【請求項5】 上記お客様を案内するテーブルが複数人用であり、該テーブルを仕切る可動式パーティションを更に備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のステーキの提供システム。
【請求項6】 上記可動式パーティションが、高さが250mm以下の低い障壁と、該障壁を自立させる脚とから構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のステーキの提供システム。」
2.本件特許発明1について
本件特許明細書には、次の事項が記載されている。
「【0001】 本発明は、ステーキの提供システムに関するもので、特に、お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供するステーキの提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】 飲食店において提供されるステーキは、ゆったりと椅子に座り、会話を楽しみながら食すのが一般的であり、どうしても場所代、人件費がかかり、高価なものとなっていた。また、提供されるステーキの大きさは、定量で決まっていたり、選べる場合であっても、100g、150g、200gと言ったように、その量が決められており、お客様が、自分の好みの量を、任意に思う存分食べられるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】 本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供することにある。」 してみると、本件特許発明1は、飲食店において提供されるステーキが、高価なものであり、また、提供されるステーキの大きさが、決められており、お客様が、自分の好みの量を、任意に思う存分食べられるものではなかったという問題の解決を課題として、お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供することを目的とする。」
「【0005】 上記した本発明に係るステーキの提供システムによれば、お客様が要望する量のステーキを、ブロックからカットして提供するものであるため、お客様は、自分の好みの量のステーキを、任意に思う存分食べられるものとなる。また、お客様は、立食形式で提供されたステーキを食するものであるため、少ない面積で客席を増やすことができ、またお客様の回転、即ち客席回転率も高いものとなる。 上記したようなことから、本発明に係るステーキの提供システムは、お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供することができるものとなる。」
「【0016】
本発明に係るステーキの提供システムは、上述したものであり、特に、お客様が要望する量のステーキを、ブロックからカットして提供するものであるため、お客様は、自分の好みの量のステーキを、任意に思う存分食べられるものとなる。
また、お客様の要望に応じてカットした肉を計量機に乗せ、お客様にその量をご確認頂くと共に、グラム単位で料金を算出しているため、このステーキの提供システムは、明朗な料金設定のものとなる。
また、お客様は、立食形式で提供されたステーキを食するものであるため、少ない面積で客席を増やすことができ、またお客様の回転、即ち客席回転率も高いものとなる。
更に、お客様を案内したテーブルに番号を記載した札を置き、該札を持ってカットステージまでお客様に移動して頂き、そこで好みの量のステーキを伺う、また、お客様を案内するテーブルに予め多くのフォークとナイフが用意しておく、更にはステーキ以外のメニューをドリンク、サラダ、ライス程度にしぼる等の方策により、スタッフへの負担が軽減でき、少ない人数での接客作業を実現できる。
また、肉を焼くステップが、遠赤外線が多く出るガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火焼きであり、該ガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火で焼いた肉を電磁誘導加熱により所定温度に加熱した鉄皿に乗せ、お客様のテーブルまで運ぶ、また、お客様を案内するテーブルに予め温かいステーキソースが入れられたポットを用意しておく等の方策により、お客様には、いつまでも温かい状態でステーキを食べて頂くことができる。 上記したようなことから、本発明に係るステーキの提供システムによれば、お客様に、好みの量のステーキを、美味しく、安価に提供することができるものとなる。」
3.本件特許発明1の発明該当性について
本件特許発明1は、前記「1.」、及び「2.」の記載からみれば、「お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供する」ことを「課題」とし、「お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法」を「課題を解決するための技術的手段の構成」として採用することにより、お客様が要望する量のステーキを、ブロックからカットして提供するものであるため、お客様は、自分の好みの量のステーキを、任意に思う存分食べられるものとなり、また、お客様は、立食形式で提供されたステーキを食するものであるため、少ない面積で客席を増やすことができ、またお客様の回転、即ち客席回転率も高いものとなって、「お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供することができる」という「技術手段の構成から導かれる効果」を奏するものである。
そうすると、当該課題、及び当該効果を踏まえ、本件特許発明1の全体を考察すると、本件特許発明1の技術的意義は、お客様を立食形式のテーブルに案内し、お客様が要望する量のステーキを提供するというステーキの提供方法を採用することにより、お客様に、好みの量のステーキを、安価に提供するという飲食店における店舗運営方法、つまり経済活動それ自体に向けられたものということができる。
また、本件特許発明1は、「上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム」と特定され、「札」、「計量機」、「印し」、及び「シール」という物を、その構成とするものである。 そして、「札」の本来の機能とは、ある目的のために必要な事項を書き記したり、ある事を証明することにあって、本件特許発明1の「札」も、お客様を案内したテーブルのテーブル番号が記載されており、他のお客様と混同しないように、あるいは案内したお客様のテーブル番号を明らかにするために札にテーブル番号を記載したものである。
また、「計量機」の本来の機能とは、長さや重さなど物の量をはかり、その物の量を表示することにあって、本件特許発明1の「計量機」も、お客様の要望に応じてカットした肉の重さをはかって、その肉の重さをシールに表示するものである。
また、「印し(これを具体化したものが「シール」である。)」の本来の機能とは、他と紛れないように見分けるための心覚えしたり、あるいはあることを証明することにあって、本件特許発明1の「印し(シール)」も、お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別するために、シールに計量機が出力した肉の量とテーブル番号を記載したものである。
してみると、本件特許発明1において、これらの物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が示されているのみであって、これらの物を単に道具として用いることが特定されるに過ぎないから、本件特許発明1の技術的意義は、「札」、「計量機」、「印し」、及び「シール」という物自体に向けられたものということは相当でない。
また、本件特許発明1は、「ステーキの提供システム」という「システム」を、その構成とするものである。
しかしながら、本件特許発明1における「ステーキの提供システム」は、本件特許発明1の技術的意義が、前記のとおり、経済活動それ自体に向けられたものであることに鑑みれば、社会的な「仕組み」(社会システム)を特定しているものに過ぎない。
してみると、本件特許発明1の技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成、及びその構成から導かれる効果等に基づいて検討した本件特許発明1の技術的意義に照らすと、本件特許発明1は、その本質が、経済活動それ自体に向けられたものであり、全体として「自然法則を利用した技術思想の創作」に該当しない。
したがって、本件特許発明1は、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しない。
なお、特許権者は、「取消理由(決定の予告)において、第1の手法による場合は、本件特許発明1の後段の構成要件を実質的に無視して前段の構成要件のみにて発明該当性を判断している」旨(平成29年9月22日付けの意見書の10頁9~11行)主張しているが、上記のとおり、本件特許明細書を踏まえて、本件特許発明1の課題、及び技術手段の構成から導かれる効果を認定し、当該課題、及び当該効果を踏まえ、本件特許発明1の全体を考察して、本件特許発明1の技術的意義を判断しているから、特許権者の上記主張に理由はない。
また、特許権者は、「訂正後の請求項1においては、『座席(テーブル番号)の情報』は、『札』から『計量機』へ、そして『計量機』から『印し』へと有機的に伝達される構造体を形成している」旨(平成29年9月22日付けの意見書の9頁末行~10頁2行)主張しているが、確かに、「札」から「計量機」へ、そして「計量機」から「印し」へとテーブル番号は伝達されているともいえるが、その伝達が有機的とまではいえず、特殊な情報の伝達でもないから、特許権者の上記主張に理由はない。
4.本件特許発明2~6の発明該当性について
本件特許発明2~6は、前記「1.」のとおり、本件特許発明1を更に減縮したものである。 本件特許発明2は、「上記お客様の要望に応じてカットした肉を焼くためのガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火と、該ガス又は電気で熱した溶岩及び/又は炭火で焼いた肉を保温するための電磁誘導加熱により所定温度に加熱された鉄皿とを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のステーキの提供システム」というものであるが、前記「イ.」と同様に、ガス、電気、溶岩、炭火、電磁誘導加熱、及び鉄皿といった物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が特定されるのみであることから、本件特許発明2の技術的意義が、これらの物に向けられたものということはできない。
本件特許発明3は、「上記お客様を案内するテーブルに置かれた多数のフォークとナイフを更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のステーキの提供システム」というものであるが、前記「イ.」と同様に、テーブル、フォーク、及びナイフといった物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が特定されるのみであることから、本件特許発明3の技術的意義が、これらの物に向けられたものということはできない。
本件特許発明4は、「上記お客様を案内するテーブルに置かれた温かいステーキソースが入れられたポットを更に備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のステーキの提供システム」というものであるが、前記「イ.」と同様に、テーブル、ステーキソース、及びポットといった物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が特定されるのみであることから、本件特許発明4の技術的意義が、これらの物に向けられたものということはできない。
本件特許発明5は、「上記お客様を案内するテーブルが複数人用であり、該テーブルを仕切る可動式パーティションを更に備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のステーキの提供システム」というものであるが、前記「イ.」と同様に、テーブル、及び可動式パーティションといった物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が特定されるのみであることから、本件特許発明5の技術的意義が、これらの物に向けられたものということはできない。
本件特許発明6は、「上記可動式パーティションが、高さが250mm以下の低い障壁と、該障壁を自立させる脚とから構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のステーキの提供システム」というものであるが、前記「イ.」と同様に、可動式パーティション、障壁、及び脚といった物は、それぞれの物が持っている本来の機能の一つの利用態様が特定されるのみであることから、本件特許発明6の技術的意義が、これらの物に向けられたものということはできない。
したがって、本件特許発明2~6は、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しない。
第4.むすび 以上のとおり、本件特許発明1~6は、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しないから、本件特許発明1~6に係る特許は、特許法第29条柱書きの規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。
平成29年11月28日
審判長 特許庁審判官 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
〔決定分類〕P1651.1 -ZAA(A47F)
841
851
854
上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 平成29年11月28日 審判書記官 伏木野 英雄