2.1.1 Ivoryによる整理
Ivory (2018)
SAGEのコミュニケーション研究方法事典の「ゲームスタディーズ」の項目。
広義のゲームスタディーズの方法を大まかに以下の3つのアプローチに区別している。
① 批判/文化研究的なアプローチ(Critical and Cultural Studies Approaches)
人文諸学の観点からのゲームの研究。「ゲームスタディーズ」という語が狭義で使われる場合はこれを指す。
たとえば、 カルチュラルスタディーズ、文学批評、テクスト分析、マルクス主義分析、政治経済学、メディアスタディーズ、フェミニズム理論、映画批評、メディアエコロジー、談話分析、ファンタジーテーマ分析、ナラティブインクワイアリー、パフォーマンススタディーズなど。
このタイプの研究は、たとえば以下を明らかにすることを目的にする。
人間文化におけるゲームの意味合い(meaning)は何か。
ゲーム(その内容、作り手、ユーザー)が、社会上の制度・イデオロギー・権力構造とどんな相互関係を持つか(それらを持続させる方向にせよ、転覆させる方向にせよ)。
ゲームは、新しい物語表現形式として扱うべきものか、それともそれ自体独立したカテゴリーとして扱うべきものか(ルドロジー対ナラトロジー)。
② 質的解釈アプローチ(Interpretive Qualitative Approaches)
質的なデータを集めて、それを研究者自身の主観的な目線から解釈するタイプの研究。
たとえば、エスノグラフィー的なアプローチの研究。
①と②の違い:
①は、すでに与えられているテクスト・物・社会構造を批判的に考察する。
②は、新しいデータをとって、それを解釈する。
とはいえ、データの集め方や解釈に際して、②が①の見識を利用することもある。
③ 計量的なアプローチ(Quantitative Scientific Approaches)
心理学:
影響論(攻撃性・反社会性・依存などの悪影響、教育上の有用性・認知能力の向上・健康などの好影響)など。
内容分析:
テキストマイニングなど。