3.4 競技種目の流動性
プレイされるタイトルの流動性?
最後に、個人的に一番気になっているポイントについて。
ビデオゲーム競技は、プレイされるタイトルが頻繁に入れ替わる(あるいは同じタイトルでもアップデートされる)傾向にある。つまり、同じゲームタイトル(の同じバージョンの同じルール)が競技としてプレイされ続けることは少ない(少なくとも、伝統的なボードゲームやスポーツと比べれば)。
技や戦略は、同じ条件での試行を続けるからこそ熟達・深化していくものだろう。その意味で、頻繁にルールが変わるのは、競技文化のあり方としてネガティブ要素かもしれない。
ただ、これは本質的な問題ではなく、現在のビデオゲーム競技にたまたま相対的にそういう傾向があるというだけの話かもしれない。
ルールの変化/固定化の観点からゲームの歴史を見る
歴史的に見れば、おそらくすべての伝統的なゲームは、さまざまなタイミングでのルール変更を経た結果として現在に至っている。
たしかに将棋(本将棋)などは現行のルールになってから数百年は経っているが、それよりもはるかに長い歴史の中でかなりのバリエーションが見られる。
麻雀のように、比較的近年にさまざまなルールの試行と固定化のプロセスが生じたゲームもある。
ラグビーは比較的頻繁にルールが変わる競技だが、最近になってまた大きく変わったらしい。
細かなルール変更も含めれば、大半のスポーツに見いだせるだろう。
逆にビデオゲーム競技にも、『ぷよぷよ通』のようにほぼ固定化して定着しているルールもある。
気になる
この先20年、50年、100年と経ったときに、各種のビデオゲーム競技のルールがどこまで固定化するのかしないのか(そして伝統的なゲームの仲間入りをするのかしないのか)。
もしそうならないとすれば、それはビデオゲーム競技にナラデハの特徴としてその原因が何かあるのだと考えたくなる。個人的にこの点はかなり気になる。