平沢進とPerl
Perlで作った少額決済のプログラムの話
それは「何だか分からないうちに動いている」という私のPerl体験によるものである。 パールが何かを食べているのは見たことが無いし、ましてハエを取っているのも見たことがない。
どうやってエネルギーを得ているのか知らないが、何だか分からないうちに動いているのだ。パールは。
インターネットに接続するために必要なソフトウエアは全てインターネットの中にあります。
というパラドキシカルな時代からほんの僅かの月日が経った頃にP-MODELはネット上で楽曲を販売し始めた。
勿論、現在のように配信と決済ができるサイトを誰もが利用できる時代ではなく、そもそもそんなの無い
ではいったいどうやってそれが実現できたのか?
Perlのおかげだが、それは何だか分からないうちに動いていた。 個人では見つからないに等しい。実際決済の参考にできる個人サイトは存在しなかった。
ネット上で動くプログラムで、入手できるのは掲示板プログラムばかり。
でも、それがどうやって動いているのかを知るのが先決と考えた。
中身を見ても何だかさっぱり分からない。
それぞれの行が何を意味しているのかを探り出すために、一行ずつ削除して結果を見たり、テキトウなことを書きこんで結果を見たりする果てしない行為が何日も続いた。
アホか。参考書を買え。
インターネットに必要なものはインターネットの中にある、というパラドキシカルな試練に慣れ過ぎていたため、全ては自力でやる、ということ以外思いつかなかった。
長い長い計器飛行の結果、掲示板プログラムは何かを受け取り、どこかにそれを渡し、結果を受け取って表示するものであることが分かった。
あ、と、シロートは一抹の可能性に気付いて興奮した。シロート怖い。
買うという意思を受け取り、カード会社に渡し、結果を受け取って表示すればいいじゃん。
紆余曲折の後、クレジットカード決済の後に楽曲をダウンロードできるサイトが出来てしまった。
シロート怖い。
ただしそれは、何だか分からないけど動いているに等しい。
説明せよと言われたら「ワカリマセーン」と答えるしかないが、それはちゃんど動いている。
そして私は自作だが、分かっていないプログラムで動いているシステムから収入を得て、ケイオスユニオンという会社を存続させていた。
いいのかこれで。
いいのだ。違法ではないし、誰も損害を受けていない。
Perlの冒険は面白かった。現在ではプロが作ったプログラムで決済をしている(当たり前だ。危険すぎる)。
おかげでこの家に住み、パールが家中を動き回っているのを見て楽しんでいる。
そうだよな、パール?
ほら、もう居ない。
今度はパールが冒険中。
またこんど!!
もしパール(スクリプト言語)のことをちゃんと勉強していたら、あんな恐ろしい継ぎはぎだらけの決済サイトをネット上にデビューさせない。
まさかネット上に巨大な穴がいくつも開いたプログラムでコンテンツの代金を支払わせるサイトなどあるわけない。
という有難い先入観のおかげで私は今ここにいる。
考えただけでも背筋が凍る。