エフェクチュエーション
「エフェクチュエーション(Effectuation)」は、起業家の意思決定プロセスを理論化したもので、サラスヴァシー博士が2001年に提唱しました。彼女は多くの起業家とのインタビューを基に、彼らの意思決定の過程を分析し、エフェクチュエーションというフレームワークを作り上げました。
エフェクチュエーションの核心は、将来を予測するのではなく、手元にあるリソースを最大限に活用して、未来を作り出すアプローチです。
以下は、エフェクチュエーションの主要な5つの原則です:
1. **鳥の手原則(Bird in Hand Principle)**:
- 起業家は、現在手に持っているリソース(知識、技能、人脈など)を活用して、ビジネスのアイディアを形成します。
2. **予期せぬ事象を活用する原則(Lemonade Principle)**:
- 予期しない事象や障害が起こったとき、それをチャンスとして捉え、新しい機会を見出します。
3. **パッチワークキルト原則(Patchwork Quilt Principle)**:
- 他者との協力やパートナーシップを積極的に結成し、共同で新しい市場やビジネスのチャンスを作り出します。
4. **予算原則(Affordable Loss Principle)**:
- 大きなリスクを冒すのではなく、失っても許容できる範囲のリスクを取ることで、進行方向を調整しながらビジネスを展開します。
5. **誘因制御原則(Pilot in the Plane Principle)**:
- 起業家は未来を予測するのではなく、自らの行動で未来を作り出すという考え方を持ちます。
**スタートアップでの事例**:
Airbnbは、エフェクチュエーションの考え方に近い事例としてよく引用されます。創業者たちは、自分たちの部屋を貸し出してお金を稼ぐというシンプルなアイディアからスタートしました。彼らは手元にあるリソース(自分たちの部屋)を活用し、失っても許容できる範囲でのリスクを取りながら、サービスを成長させていきました。また、ユーザーからのフィードバックや市場の変化を柔軟に取り入れ、サービスを進化させていきました。
このように、エフェクチュエーションは、リソースが限られているスタートアップの状況に非常に適していると言えます。スタートアップは、不確実性が高い環境での意思決定を迫られることが多いため、エフェクチュエーションのフレームワークを参考にすることで、効果的な意思決定を行う手助けとなるでしょう。