悪役令嬢物
小説ジャンル
異世界転生の派生ジャンルとして一ジャンルを築きつつある
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…が始祖か
『悪役令嬢』の系譜|上島向陽
『悪役令嬢』とは?
『悪役令嬢』はまさしく読んで字の如く『悪役な令嬢』に他ならない
物語の中に於ける正統派ヒロインの対極に位置するキャラクターロールである。
まずはここが、大元であることは間違いないだろう。
その歴史として、真っ先に誰もが思い当たるのはこの2人のウチのどちらかではないだろうか?
2人とも、アニメ界の『悪役令嬢』の双璧をなすと云っても過言ではない。
ヒロインをいじめ抜く悪役キャラとして
イライザ:出典『キャンディキャンディ』
ラビニア:出典『小公女セーラ』
次点としてドラマ『家なき子2』の「えりかお嬢様」
取り巻きと一緒になっていじめる様を記憶している人も少なくないのではないだろうか?
榎本加奈子演じる
安達祐実演じる「スズ」が標的
余談ではあるが、このお嬢様のインパクトが強いのは毎回「えりかが喩えてあげる♪」と言ってはミュージカルよろしく、自分とスズの境遇の違いを比較していた。その一例を挙げるだけでも、インパクトの強さがうかがえる。
”エリカが優雅に舞う白鳥なら、あなたはゴミ箱を漁るカラス”
”エリカが夜空に輝くお星様なら、あなたは味噌汁のだしに使われるただの煮干様”
”エリカが豪華客船クィーンエリザベス号なら、あなたは三途の川を渡る泥舟”
”エリカがビーナスなら、あなたはただのナス”
wwwww ここまで喩えられたらもはや笑うしかない。
ドラマといえば「大映ドラマ」などにもヒロインをいじめる役どころの令嬢が散見される
私の記憶にある中で云えば『少女に何が起こったか』で小泉今日子をいじめていた賀来千香子や高木美保などが完全にそうだった。
もう役名すら忘れているがw。
おそらく遡れば「赤いシリーズ」などにもそういう役どころは存在しているのではないだろうか?
『悪役令嬢』の歴史
この『ヒロインをいじめる悪役令嬢』というのは歴史的にどこで発祥したのであろうか?
「そんなの昔からさ。人間が見てイヤな者を、作者が用意したのだ!」と応えるのは簡単。
それでも、じゃあ最初にそこにキャラを置いた意味を考えないと、なんだかスッキリしないじゃないか!
なんていうのは物書きの性なのだろうか?
なにはともあれ、いろいろと辿ってみよう。
世界名作に見る悪役
一連のおとぎ話群である。
さて、もっともわかりやすいのは『シンデレラ』もしくは『灰かぶり姫』などで伝えられる
誰もが知っているであろうヒロイン「シンデレラ」は「継母」とその「連れ子の姉妹たち」にいじめられて辛く過酷な労働を強いられる日々を送るのだ。
この『連れ子の姉妹』が一番わかりやすいのではないか?
じゃあそれが元祖なんじゃないの?
そんな短絡的ではいけません。
もっと遡ってみる。
有名どころ「王女メディア」 これなどかなり、後のおとぎ話の中に出てくる『魔女』のイメージに近いのではないか?
内容をざっくりというとメディアの夫イアソンは「金と権力」に目が眩んで国王の娘と結婚する為に、現妻のメディアを捨てる。復讐として国王とその娘を毒殺する……。
悪役ではあるが「正統派ヒロインの対極」として存在ではない。
むしろギリシャ神話に於いてだいたいの場合「ヘラ」がその役を担っているような気がする。
ていうかギリシャ神話の場合、「女好きゼウスの浮気」が原因なんで彼女を「悪役」と言ってしまうのはどうなんだろうか?
ちなみに正統派ヒロインを呪い殺すヒロインというのは日本サイコの物語……もといw、日本最古の物語に存在する。
六条御息所……そう、紫式部著の『源氏物語』である。
光源氏のヒロインとして登場するが、その他のヒロインを生き霊となって呪い殺してしまう。 彼女は貴族だし、まさに『悪役令嬢』!
未亡人だけど!w
さらに過去の文献を掘り出せば「これぞ悪役令嬢!」というのもあるかもしれないのだが、メジャーどころではやはりこの辺りではないでしょうか?
実は『乙女ゲーム』には悪役令嬢は少ない?!
ここでは『乙女ゲーム』に於ける『悪役令嬢』に触れてみる。
乙女ゲーム、というのは、今更説明の必要も無かろうが、 主に女の子がプレイするのを想定された恋愛シミュレーションゲームである。
攻略する男性が居て、誰と恋仲になるのかを物語やイベントをクリアしていくのである。
いわゆる男性向け恋愛ゲーム、通称ギャルゲーの女の子版ということである。
その『乙女ゲーム』の元祖と言われるのが、1994年に光栄から発売された。 『アンジェリーク』である。
これを皮切りにまさに雨後の竹の子のように様々な乙女ゲーが発売されていく。
『遙かなる時空の中で』シリーズや『金色のコルダ』などがアンジェリークに並んで有名であろう。
その中で、いろいろと見てみたのだが、なかなか「悪役令嬢」というのが見つからない。
アンジェリークを例に上げてみれば
ライバルの女性である『ロザリア』は高潔な人物として描かれている。
多少毒舌なところはあるが、これがなかなかに面倒見がよかったりする。
主人公である正統派ヒロイン、アンジェリークのライバルではあるけれども、嫌がらせなどをするのではない
喩えるなら『エースをねらえ!』の岡ひろみに対する「お蝶婦人」のようなキャラクターといえる。
しかし今更ながら女子高生に「お蝶婦人」って異名はすごいというか、今だと逆に嫌味に見えるよなぁ……。
まぁ、この作品は『女王』を選出する為に選ばれた女王候補がヒロインとそのライバルであり
ひたすら意地悪な女王候補など、選出された時点でいろいろと問題があろうというものだ。
あと、あまりヒロインをいじめると「ヒロイン=プレイヤー」なのでゲーム内とはいえ、自分の分身がいじめられたり、いやがらせをされる様は見ていて楽しいわけもなく、当然といえば当然である。
まぁ、手っ取り早く、私見としての結論を言わせていただくと
『乙女ゲームの悪役令嬢』というものは 実際の乙女ゲームの中には存在せず 『創作物に於ける存在である』
無論、数多ある乙女ゲームをプレイしているワケではないので、 実際はどうかはわからないが、上述の理由から、実際のゲームで 登場させるのはなかなかに厳しいと考えられる。
そこで、やはり考えられるのが、世間一般に云うところの『悪役令嬢』のステレオタイプを創り出したのは、この2人であることは間違いはないだろう。
キャンディキャンディのイライザ
イライザは兄の「ニール」と一緒になっていじめていた記憶があり、これがまたなんとも陰湿だったりした記憶がある。
当時幼稚園児なので、本当に浅い記憶ではあるのだが。 出自が孤児であるキャンディに対して名家の子女であるイライザはことあるごとにキャンディに酷く辛く当たるのだ。
その手段はどれも狡猾で「告げ口」などで周囲の人たちを巻き込んで、キャンディの立場を追い込んでいく。 そりゃ終盤強くなるよ。w
小公女セーラのラビニア
もう一方、小公女セーラのラビニアに至ってはイジメ、いびりは酷く
視聴者の親御さんから「なんて酷い内容だ!」というクレームが入ったという伝説すらある。
詳細は覚えてないものの、私も毎週見ていて胸糞の悪い気分になったのを記憶はしている。
最終回でどうやら「和解めいた」会話をするのではあるが、あれを「和解」と言っていいのかどうなのかは、今も尚論争が繰り広げられる。
とにもかくにも、この2人が『悪役令嬢』の二大巨頭であることは間違いないと思われる。
そしてさらなる進化を遂げる『悪役令嬢』
そんな『悪役令嬢』のテンプレートをおさらいしてみたところで、現代の『悪役令嬢』はどうなっているのか? を見ていきたい。
正直その草分けと思われる『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』が非常にわかりやすいので、これを例に挙げる。
というか、正直、これがテンプレになっているのではないのか? と思わなくもない。
そもそもまず『異世界転生物』というジャンルがあり、そのテンプレートを利用した物語が玉石混淆で生み出され、今も尚ゾクゾクと魔魅穴から溢れ出す妖怪の如くに世に生まれ出され続けているのである。
というのが大まかなあらすじとなる。
『乙女ゲーム』を舞台とした異世界に転生してしまった主人公、という、これがまず基本。
その異世界転生から枝分かれした
そしてだいたいそのゲーム内での悪役令嬢は悲惨なエンディングを迎えることとなるのである。
実際のところ、様々な『悪役令嬢』で悲惨な末路というのは少ない。
あのヒロイン殺しの『六条御息所』でさえ、最後は祀られて、その跡地を光源氏の邸宅にするくらいなので、粗末に扱われてはいない。w
でその悲惨な末路からなんとか逃れる為に、あれやこれやと考えをめぐらせて、回避していこう!
その手段として、まぁいろんなものと契約したり、なんかスゴいチートスキルを使ったりしてというある意味「異世界転生」のお約束がふんだんに使用される。
そこをどうやって回避し、そして恋愛の兆しなどをどうクリアしていくのか? なども含めて決まったエンディングからの変化ぶりを見て楽しむものがこのジャンルなのかな? と考えたりします。