戦場でワルツを
https://scrapbox.io/files/6a13b90c65e24daf8cb556b4.png
コンシャス。みてる間ずーっと、ドキュメンタリーっぽいけど、アニメだし、ストーリーっぽいのはあるのと記憶喪失の主人公を第三者視点から撮る感じはあったので、どういう立て付けなのかよくわかっていなかったんだけど、見終わった後DVDの特典映像で監督のインタビューを見た時に、見た目が主人公とそっくりだったので、ドキュメンタリーだったことを知る。イスラエルの監督がこうやって反戦メッセージの映画を作っていたことを知れてよかったし、件の虐殺のことを知らなかったので勉強になった。最後、実写で虐殺の様子、死体がたくさん地面に転がっている様子が流れるので、閲覧注意ではある。そのタイミングで妻が急に部屋に現れたので、慌てて目隠しをした。 この映画と、同じく2008年に公開された『$9.99』とは1962年に公開されたヨラム・グロス、アリナ・グロス『Ba'al Hahalomot』以来のイスラエルの長編アニメーション映画だった。
この映画の原題は、フォルマンの従軍時の上官であったシュミュエル・フレンケル(インタビューにも登場する)が砲火の飛び交うベイルートの路上でバシール・ジェマイエル(英語版)のポスターが見下ろす中(ショパンの『ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2』にあわせて)軽機関銃を乱射しながら「気の触れたワルツを踊る」シーンから来ている。
あらすじ
1982年、アリ・フォルマンは19歳のイスラエル国防軍の歩兵だった。2006年に彼は兵役時代の友人と再会し、レバノン内戦での経験と関連した悪夢について聞かされ、フォルマンは自分自身がその頃の記憶を失ってしまっていることに気付く。
フォルマンは、しばらくしてサブラ・シャティーラの虐殺の夜の幻覚を経験するが、自分が実際に何をしていたのかを思い出すことはできなかった。幻想の中では、フォルマンや仲間の兵隊たちは、ベイルートの海辺で照明弾が打ち上げられていく夜空の下、海水浴をしていた。 フォルマンは友人の心理学者を訪ね、何が起きたのかを知り記憶を取り戻すために、同じ時期にベイルートにいた他の人々と話をするよう勧められる。フォルマンは、兵役時代の別の仲間や、当時レバノンにいたジャーナリストのロン・ベンイシャイ (Ron Ben-Yishai) との対話を重ね、自分の記憶に迫っていく。
映画の最後にフォルマンは虐殺の夜の記憶を取り戻し、画面がアニメーションからサブラ・シャティーラの虐殺を伝える実際のニュース映像に移り変わって映画は幕を閉じる。
キャスト
この映画の登場人物には実際の人物たちが本人役で登場するものと、実在する何人かの人物を総合して作り出された架空のものの両方がある。俳優の横のカッコ内はDVD日本語吹替キャスト。
アリ・フォルマン(てらそままさき): 本人役。予備役を最近終えた映像作家。二十数年前(1982年)のレバノン内戦時にイスラエル軍に従軍していた。 ミキ・レオン(木下浩之): ボアズ・レイン=バスキーラ役。レバノン内戦の帰還兵で悪夢に悩まされている。 オーリ・シヴァン(英語版)(石住昭彦): 本人役。イスラエル人の映像作家。フォルマンと2本の映画を共同で監督した旧友。 イェヘズケル・ラザロフ(英語版)(家中宏): カルミ・クナアン役。レバノン内戦の帰還兵でかつてフォルマンの友人だった。現在はオランダに移住している。 ロン・ベン=イシャイ(英語版)(有本欽隆): 本人役。最初にサブラ・シャティーラの虐殺を取材したイスラエル人ジャーナリスト。 ドロール・ハラジ(島香裕): 本人役。レバノン内戦の帰還兵。戦争中はシャティーラ難民キャンプの外に駐留していた戦車旅団を指揮していた。 評価
映画の評判
indieWireはこの映画を、100人の映画批評家による集計の結果として、2008年のうちで10番目に良かった映画として挙げている。ガーディアン誌上でXan Brooksはこの映画に「並外れていて、恐ろしく、挑発的な映画だ」という評価を与えた。東京フィルメックスでは「新しい映像言語を発明」したと賞賛されている。
批評家からは好評だったものの、この映画のイスラエル国内での商業的な成功は限定的だった 。一方で、より最近のハーレツ紙によれば、この映画は史上3番目に良かったイスラエル映画との調査結果も出ている。
映画の内容に関する言論
ハーレツの特派員ギデオン・レヴィはこの映画に対し、イスラエルやイスラエル軍が善く描かれすぎているとし、「スタイリッシュで洗練され恵まれていてできもいいが、プロパガンダ」、茶番だという評価を下した。ネイション誌は映画で描写されている出来事が不穏なまでに真実みを帯び今日的だとし、「今日のイスラエルはアリ・フォルマンのそれではなく、アヴィグドール・リーベルマンやベンヤミン・ネタニヤフのものになってしまった」と嘆息している。コメンタリ・マガジン紙は「感情的には力強い」が虐殺に関するイスラエル軍の役割が「闇の中で曖昧にされている」ため「知的には浅い」と評した。しかし、これを除けば好意的であるこのレビューは、「イスラエルがなんと酷いことをやってしまったことだろう — そしてそれを認めるだけの細やかな精神を持てるということはなんとすばらしいことだろう」と締めくくっている。
登場人物のコメントの中でホロコーストにおけるナチス親衛隊の行動とサブラ・シャティーラの虐殺におけるイスラエル国防軍の行動を比較した部分は特に論争の的になっている。コメンタリ・マガジンは「イスラエルの行動をナチスになぞらえることは下劣な反ユダヤ的考えであると同時に、イスラエル人にとっては一定の状況下でホロコーストについて思いを巡らせるのはきわめて自然なことでもある。つまり他の国の人々と違ってイスラエル人は未だにホロコーストの影を落としているのだ。」しかし、パジャマ・メディアのジョン・ローゼンタールは映画中のシーンが「激しく誇張されて」「明らかに論理的に間違いをきたしている」と宣告している。
レバノンでの上映
イスラエル映画の常としてアラブ各国でこの映画は上映禁止とされたが、これに対しレバノンでは大きな反対が巻き起こった。(この映画はレバノンの歴史のうちでも混沌と暴力に見舞われた時期を描いている。)レバノン・インナー・サークルや+961をはじめとしたブロガーらによって政府の禁止措置に対する反対運動が起き、政府の反対要請を押し切って在レバノンの批評家のために上映が行われることになった。2009年の1月にベイルートで50人の人々のために私的な上映が行われ、フォルマンはこれを大きな誇りとしてコメントしている:
「 わたしは圧倒され興奮してしまった。その場にいられたらよかったのにと願わずにはいられない。わたしはベイルートでこの映画を自ら紹介できる日が来ることを願っている。それは私にとって、人生でいちばん幸せな日になるだろう。 」
戦場でワルツを
ואלס עם באשיר
監督 アリ・フォルマン
脚本 アリ・フォルマン
製作 アリ・フォルマン
出演者 アリ・フォルマン
公開 イスラエルの旗 2008年6月12日
日本の旗 2009年11月28日
上映時間 90分
製作国 イスラエルの旗 イスラエル
言語 ヘブライ語
アラビア語
英語
ドイツ語
製作費 $1,500,000