写したものよりも、写さなかったことのほうがリアル
ピントが合っているものを花と呼ぶことにする|鹿|note
#2019/12/5 #2019/12 #2019 #12月 #5日 #12/5 #Thursday #2019AC2019
花を買うには技術がいる。まず、花屋に入る技術が。それから、花を選ぶ技術も。誰も教えてくれないのに身につけなくてはならない技術が、この世界には多すぎる。これは、どうやって花を手に入れるのかという話ではなく、アクセシビリティと人権の話だ。どんなにささやかなことでも、できない人がいる。そのことを、想像できるかどうか。
どんなにささやかなことでも、できない人がいる。そのことを、想像できるかどうか。
カメラには、レンズの焦点距離、光の量、そしてピントをあわせる変数がある。変数の値を決めることは、なにを見るのかを決めること。だから、ファインダーから見つめる被写体の像は、見ることそのものを自覚的にさせてくれる。写したものよりも、写さなかったことのほうがリアル。ぼやけてかたちがはっきりしなくても、ある部屋で、ある夜に、たしかに咲いていた。その花を、僕だけが見ていた。
写したものよりも、写さなかったことのほうがリアル