【ss】目覚め
わたしが自分の部屋をもらってしばらくして,朝起きたらビー玉が布団に転がっていた.
なにかの飾りを壊したのかと思って,起こしに来たお母さんに聞いた.
お母さんは目を見張って,大きな声でお父さんを呼んだ.
お父さん帰ってきてるんだなって分かったのはその時で,いつもの朝はそこまでだった.
久々に会ったお父さんは呼び方を変えた時の表情によく似ていた.驚いて,それからすこし悲しそうな顔.
お母さんがどこかに電話をかけて,お父さんとお話することになった.
ビー玉のしまい方.力の話.本当のお仕事の話.
それから,ここで暮らし続けるかの選択.
知らなかった日常を少しずつ飲み込んで,それでもわたしは変わりたくなかった.
わたしは習いごとをすることになった.
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