在らざる者(arInia)信仰
(yUraru の神話概觀も參照せよ)
内海一帶には在らざる者(arInia)への信仰があった。
在らざる者とは
在る者と在らざる者の對比。
人は死ぬと在らざる者に歸る。
あらゆる物は、何れ在らざる者に歸る。
海のある地域では海のイメージと聯關するが、飽く迄、海神がゐる、と云ふ事ではなく、海は在らざる者の世界に繫がってゐると云ふ事なのである。
沙漠のある地域では沙漠のイメージと(同上)
在らざる者は、在らざる者なので、何處にも在らざるのである。
宏漠なる在らざる者の世界の片隅に、泡沫の樣に、在る者らの世界がある。
tAruakanaでは根強く殘った。
kAtoriruixisでは、sArudadoから傳はった鼎月神への信仰と習合した。
twanosuuとの關聯。
twanosuuは屍肉を喰らひ無に返す鳥として、在らざる者の遣ひ、或いは象徵と看做されて來た。
The Raven "Nevermore"
大鴉 - Wikipedia
太陽yUruとの關聯。
kAtoriruixisでは、鼎月に續く四つ目の天體として太陽と結びつけられた。
太陽に曝すと、魚は干物になって在らざる者に近付く。
太陽に曝すと、色彩は褪せて在らざる者に近付く。
太陽を見詰め續けると視力を失ふのは、目が在らざる者に歸ったからである。
太陽は崇拜の對稱であると同時に、忌むべき物である。
屍體を太陽に曝すと、twanosuuがやって來て屍體を在らざる者に返す。
太陽=皇帝=twanosuuは無(無)
yUraru に於ける神學を鼎月と太陽の四角形に依り形式的に敍述する試み
kAtoriruixisでは逆方向の影響として、鼎月も在らざる者/在る者の對比中に位置づけられた。
白き月Isiは母であり、在らざる者から在る者を取り出す働きを持つ。有(無)
黑き月Igaxは老婆であり、在る者を在る者として保つ働きを持つ。有(有)
赤き月Adaは乙女であり、在る者を在らざる者に返す働きを持つ。無(有)
tAruakanaの在らざる者信仰
遺體を海に流すかも。或いは散骨。
戰に勝った時に敵の都市の生物を根刮ぎ殺す儀式(屠城)をして在らざる者に返す。
在らざる者と成る/成す事、すなはち死の神聖視。
葬制
風葬〜鳥葬の類型
https://ja.wikipedia.org/wiki/沈黙の塔#:~:text=太陽光反射器を使用して集中的に太陽光を死体に浴びさせることによって死体の乾燥による分解を促進させる
空の椅子
椅子に「見えないものが座ってゐる事にする」のではなく、椅子に何も座ってゐない事。その「何も座ってゐない」を祀る
空の祭壇 (槪觀は莊嚴された佛壇っぽいイメージ)
豪奢に金銀や貴石、螺鈿などで莊嚴された扉を開くと、其處には何も無い。その「何も無い」を祀る。
空の袋
革か布で出來た大きな袋。開くと、何も入ってゐない。その「何も入ってゐない」を祀る。
社會變革へのダイナミズムを祕めてゐるよ。
いや、我々は在らざる者への信仰へ立ち返るべきではないか。
「在らざる者と云ふ存在」と云ふ矛盾を解決/解釋する爲に樣々な思想が展開されるよ。