在らざる者(arInia)信仰
在らざる者とは
在る者と在らざる者の對比。
人は死ぬと在らざる者に歸る。
あらゆる物は、何れ在らざる者に歸る。
海のある地域では海のイメージと聯關するが、飽く迄、海神がゐる、と云ふ事ではなく、海は在らざる者の世界に繫がってゐると云ふ事なのである。
沙漠のある地域では沙漠のイメージと(同上)
在らざる者は、在らざる者なので、何處にも在らざるのである。
宏漠なる在らざる者の世界の片隅に、泡沫の樣に、在る者らの世界がある。
twanosuuは屍肉を喰らひ無に返す鳥として、在らざる者の遣ひ、或いは象徵と看做されて來た。 The Raven "Nevermore"
太陽に曝すと、魚は干物になって在らざる者に近付く。
太陽に曝すと、色彩は褪せて在らざる者に近付く。
太陽を見詰め續けると視力を失ふのは、目が在らざる者に歸ったからである。
太陽は崇拜の對稱であると同時に、忌むべき物である。
白き月Isiは母であり、在らざる者から在る者を取り出す働きを持つ。有(無) 黑き月Igaxは老婆であり、在る者を在る者として保つ働きを持つ。有(有) 赤き月Adaは乙女であり、在る者を在らざる者に返す働きを持つ。無(有) 遺體を海に流すかも。或いは散骨。
戰に勝った時に敵の都市の生物を根刮ぎ殺す儀式(屠城)をして在らざる者に返す。
在らざる者と成る/成す事、すなはち死の神聖視。
葬制
風葬〜鳥葬の類型
空の椅子
椅子に「見えないものが座ってゐる事にする」のではなく、椅子に何も座ってゐない事。その「何も座ってゐない」を祀る
空の祭壇 (槪觀は莊嚴された佛壇っぽいイメージ)
豪奢に金銀や貴石、螺鈿などで莊嚴された扉を開くと、其處には何も無い。その「何も無い」を祀る。
空の袋
革か布で出來た大きな袋。開くと、何も入ってゐない。その「何も入ってゐない」を祀る。
社會變革へのダイナミズムを祕めてゐるよ。
いや、我々は在らざる者への信仰へ立ち返るべきではないか。
「在らざる者と云ふ存在」と云ふ矛盾を解決/解釋する爲に樣々な思想が展開されるよ。