制作過程(デジタル・迷走版)
こちらの絵の制作過程です。芥川龍之介の羅生門を題材にしています。
舞台は平安時代の大飢饉が起きた時期です。
"そうして体を出来るだけ、平にしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内を覗いて見た。"
という、老婆が髪を引っこ抜くのを目撃する直前の一文をもとにしています。
老婆のシーンが有名なのですが、下人にとってのターニングポイントはここだと思って描きました。
https://gyazo.com/36e52977dc5c6820709c6002ca391b7d
●アイデアスケッチ
1年半くらい前のものなので、当時どういうつもりだったのか自分でも最早わからないものもありますが、
羅生門を読みつつこの辺を絵にしたいなーというのを思いつくままに描いています。
実物の羅生門は跡地しかないのですが、京都の似たような作りの寺の門に登ったことがあったので、
そのときの体勢を思い出しつつぐしゃぐしゃと描いています。
https://gyazo.com/34571bf95887d5eb8c20e0a1d3a2ba6dhttps://gyazo.com/22e5ac25215cdf01e7cefbd5d2de7998
●モノクロラフ
https://gyazo.com/1e91d1f831fc501dbd42cdf0de37c014https://gyazo.com/2b002ca79a94f2c76f9ad851467969a1
https://gyazo.com/7aa9d74e8a58bd02d1cc347ff10940b6https://gyazo.com/40820dd50896fcb065e6d12916f3d6b0
有名な老婆が髪の毛を引っこ抜いているシーンも検討しましたが、
ちょっとベタすぎるのとわかりづらいのでボツに。
●カラーラフ
https://gyazo.com/d1a278c43dbc4a485df06e2fb17efa0a
モノクロで描いたところに大体で色をつけていきます。
普段はだいたいこの通りに仕上げ段階に進みます。
●迷走の軌跡
下人のことを最初は平安時代の平民だと思って描いていたのですが、
読み直して山吹と紺の服を着ていることに後から気づき、
警備兵的な役職だったから武官的な格好をさせたほうがいいのでは、とまあまあ仕上げてから気づき、
描き直したり色々した軌跡がこちらになります。
床板の線は消えて窓が出てきました。
デジタルはある程度絵の内容が固まってからでも修正しやすいのがいいところなのですが、
ここまでガッシャガシャ直すのはデジタルでも大変なので、
本来は上のカラーラフまでの段階で気づいておきたいところです。
アナログで同じような修正をしろと言われたら、泣きます。
https://gyazo.com/153b1ff264066abde44f4f776ac38120
https://gyazo.com/4ae8f3452c8e626a4f7185548210a19c
https://gyazo.com/e9a5a5f35fe5ed7bc9425e2464dd15ce
https://gyazo.com/1b2a30f926239294dec67ac2a8d1563c
このページを作成している現在、NHKの大河で平安時代が舞台の「光る君へ」を放映中なので
服装を凝視しています。
そこに下人に該当する役職の人がいて、この絵も直したくなってきています。