SNS発信型ビジネスと「イナゴ言説」についての論点整理
1. イナゴ的ビジネス言説の特徴
SNSで「稼げる」「人生が変わる」などの儲け話が大量に流れているが、その多くはテンプレ化された自己啓発やノウハウ商売であり、実態のないものが多い。
先行者(いわゆる「親」)が最も利益を得やすく、後発(「孫」)は養分化しやすい構造。マルチ商法(MLM)と類似したピラミッド構造。
発信の多くは「内輪消費」「同業者同士の承認合戦」になりがちで、ターゲット外の“本当に困っている人”には届きにくい。
2. この構造におけるリスクと限界
後発が成功する難易度は高く、トップ層の“型”や市場がすでに固定化されているため、消耗戦や自己満足に陥りやすい。
SNSでの集客ノウハウ自体が自己目的化し、「ノウハウを売るためのノウハウ」が連鎖する(エコーチェンバー現象)。
3. そもそも儲け話は“信用できない”という大原則
「向こうからくる儲け話は信用するな」は自己防衛の基本原則。
先行者は“儲かる仕組み”を作る側であり、後発がその餌食になりやすい。
すべての先行者が悪ではないが、「再現性のない話」や「簡単・今だけ・無料」を謳うものは特に警戒が必要。
4. 自分がビジネスをする場合の現実的視点
「イナゴ的言説」は基本的に無視し、自分の強み・経験・やっていて苦痛でないことを基準にビジネス領域を選ぶべき。
実際に価値が生まれるのは「誰の、どんな課題を、どう解決するか」が明確なとき。
最初は“目の前の個人”や小さなコミュニティから信用と実績を積み、拡大はそれから考える。
SNS映え・拡散よりも、地道な実績や信頼を重視。
5. 実験的なアクション案
無料または安価な小さなサービスを試してみる(例:受託開発、コンサル、note/Kindle出版、クラウドソーシング)。
“売る”ことより“使ってもらう”“役に立つ”ことを優先。
もし拡大したくなった場合でも、“自分の物語”や“納得できる倫理”を守る。
6. クリティカルシンキングの問い
「これは本当に他人に価値があるか?」と自問する。
信頼できる相手と赤の他人では売り方・伝え方が変わるのか?
小さく実験して手応えを見極めることが大事では?
「売る側」に回ったとき、自分なりの倫理や譲れない一線はどこにあるか?
まとめとして
SNSのビジネス言説はほとんどが内輪向け・自己消費型であり、鵜呑みにする価値はほとんどない。
自分がビジネスを始めるなら、「自分の強み」と「具体的な課題解決」に集中し、地道な実績と信頼を積み重ねることが現実的な戦略となる。
疑うべきは「向こうから来る話」と「再現性なき成功談」であり、“イナゴ構造”を見抜いたうえで、自分のスタンスと倫理観を明確に持つことが重要。
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