障害者雇用アドバイザーが教える障害者枠で働きたい人が知っておくべき就活の基本
松井優子
精神障害の方の中には、“クローズ”といって、精神障害であることを会社に公表しないで就職することを希望する人もいます。しかし、雇用されたものの、やはり一般枠での就職が厳しいと感じて、会社に障害者であることを“オープン”にしようとする人もいます。 この傾向が、精神障害の義務化にともない進んできたように感じます。精神障害者手帳を取得することを迷っていた人たちも、精神手帳があると就職できる機会が広がっていることを実感し、辛さや苦手さを理解している職場で働きたいと考える取得する人が増加しているからです。
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合理的配慮は、国が「○○の障害がある人には △ △ のサポートが必要」と決めるのではなく、一人一人の困り感は違うため、個人個人が「自分はこれが苦手なのでこう配慮してほしい」という発信していくことを意図しています。 たとえ同じ障害、同じ障害程度だったとしても、障害に対する受け止め方、考え方は個々人によってそれぞれ違います。できるだけ他の人のサポートを受けずに自分で行えるようにしたいという人もいれば、受けられるサポートは何でも受けたいと考える人もいます。 つまり、周囲がどれほど考えたとしても正解というものはなく、本人が望む支援が一番よいと考えているためで、これによって本人が希望する、個人に合ういわばオーダーメイドのような支援が可能となります。しかし、その一方で、自分からニーズを伝える必要があるのです。 ですから合理的配慮を受けるには、自分から必要なサポートを発信していく、つまり自分の権利を主張することが必要になってきます。職場にも理解ある上司や同僚はいるかもしれませんが、学校のように専任のカウンセラーや相談担当者がいるとは限りません。ですから、自分で環境を整えたり、コーディネートしていく力が求められるのです。 もちろん自分からニーズを伝えたとしても、すべてが受け入れられるわけではありません。先ほどもお伝えしたように、合理的配慮とされる措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除かれるからです。 受け入れ側の企業にとって、経済的に負担があまりにも重いことであったり、マンパワーが厳しい状況であるのに支援者の配置が難しい場合などの場合には過重な負担となることがあります。
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感想
障がい者雇用の専門家の人が書いてる障がい者雇用の本。単なる同情だけではなくて、リアルな現場の理屈がわかると思う。やはり企業で働くというのは、それなりに数字を求められることであるし、合理的配慮も自分の方から配慮してもらいたいことを伝えなければならない。
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