よくある反ワクチン陰謀論How toマニュアル
1. 「mRNAワクチンは感染予防効果がなかった」について
科学的事実:
初期のmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)は、当初SARS-CoV-2感染および重症化の両方に対して高い効果が確認されていました。
【参考】NEJM, Lancetなど多数の臨床試験報告(2020-2021)。
しかし、ウイルスが変異(特にデルタ株以降)すると、「感染そのもの」への予防効果は弱まったのは事実です。
それでも、「重症化防止効果」は現在も一定程度維持されています(特に高齢者・基礎疾患を持つ方)。
根本的な誤り
「感染予防効果がまったくなかった」ではなく、「当初はあったが、ウイルスの変異により低下した」が正しい。
当時のCMや厚労省の発信は、その時点での科学的知見に基づいていた。「虚偽」ではなく「最新の知見に基づく啓発」であり、科学の世界では常に知見のアップデートが行われる。
2. 「ワクチンで死者1000人超、超過死亡50万人超」について
科学的事実:
厚労省が「ワクチン接種後に死亡した」と報告された人数は確かに1000人以上。ただし、「ワクチンが直接の原因」と認められた事例はごく少数です(大半は偶発的な死亡事例が含まれる)。
ワクチン接種は主に高齢者・基礎疾患持ちが多いため、母集団として「偶然接種後に亡くなる」人が多数含まれる。
科学的には「因果関係がある」ことを証明しなければ「ワクチン死」と断定できません。
「超過死亡50万人」説は、誤った解釈です。
日本の年間死亡数は約130万人(2022年)。
新型コロナ流行期には死亡数が増えましたが、これは新型コロナ感染症自体や、それに伴う医療逼迫、社会行動制限、その他の間接要因が複合的に影響している。
「ワクチンが超過死亡の主要因」という証拠は世界的にも認められていません。欧米でも日本でも同様の疫学研究がなされています。
3. 「ブースター接種で10年前後で他界」説について
科学的事実:
mRNAワクチンは2020年から使われ始めたばかりなので、「10年後に死亡」というエビデンスは物理的に存在しません。
長期的リスクについては観察継続中ですが、「数年以内に重大な副作用が顕著に増える」というデータは出ていません(2024年時点)。
ブースター接種後の死亡率上昇なども、信頼できるデータはありません。
4. 「ビル・ゲイツが人口削減を公言」などの陰謀論
科学的事実:
ビル・ゲイツが「人口削減のためにワクチンを使う」などと公言した記録は存在しません。
「人口削減」は、多くの陰謀論者によって曲解されてきた表現。彼が講演で語ったのは「ワクチンや公衆衛生の進展によって子供の死亡率が下がる→結果として家族が安心して子供を少なく産むようになる→人口増加のペースが緩やかになる」という*人口抑制(制御)*についてです。「人為的に殺す」という話では全くありません。
【参考】TED Talk(2010)など、実際の発言動画と公式声明
ジョージアガイドストーンに関しても、「地球人口5億人」云々は一部の宗教的シンボルやアートであり、科学政策でもなければ世界的な合意でもありません。直接的な関係や証拠もありません。
5. 「重症化予防効果も虚偽」について
科学的事実:
2024年現在でもワクチン未接種群と接種群では「重症化率」に明確な差が出ています(主に高齢者や基礎疾患保持者)。
欧米・アジアの複数の大規模臨床研究で一貫して示されている。
一部で「重症化予防効果が薄れる」と報道されることはあっても、完全な「無効」ではありません。
逆に、これを否定する科学的な証拠は出ていません。
6. 「ナノテクノロジー」「体に入れられる」
科学的事実:
mRNAワクチンは、脂質ナノ粒子という技術でmRNAを細胞内に届けるが、これは「目に見えないマイクロマシン」ではなく、mRNAを包んで運ぶ「粒状の油膜」程度のもの。
「機械」でもなければ、「遠隔操作できる装置」でもありません。
科学的根拠のないオカルト的主張や神示は、健康や命に関わる場面で信頼すべき情報源にはなりません。
7. 「打った人は解毒しろ(ぬか漬け、納豆、ニコチン)」について
科学的事実:
mRNAワクチンは、体内で短期間mRNAが「翻訳」されるのみで、すぐに分解・排出されます。長期間残留したり「毒」として蓄積されるものではありません。
解毒の必要性自体がありません。
ぬか漬け、納豆、野菜などは健康によいですが、ワクチンの「解毒」には何の意味も根拠もありません。
ニコチン(タバコ)はむしろ発がん性が高く健康被害を引き起こします。ワクチンとの関連性もありません。
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