カレー軍艦
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これはカレー軍艦である。
モトコーのある立ち入り禁止区画のなかに突如出現した。設置方法は不明。フェンスには鍵がかかっており、他に侵入できそうな穴も見当たらない。フェンスの金属が一番折り曲げられていて、そこにテプラのシールで「カレー軍艦」と書いてあるので、隙間から覗くとこの作品が待ち構えている。
よくこんなところに設置したものだな、と感心していたら、ひょんなことからその作者が判明した。
犯人はモトコーの所有者、JRの社員だった。単にフェンスの鍵を部下に開けさせて設置したようだ。
なるほど。と一度は腑に落ちてしまったが、これは文脈の剽窃ではないか?と憤りを覚えた。
モトコーにカレー軍艦があってなにが悪いのか?
作品自体は面白い。では問題はどこにあるか。
「誰がやったか」が問題なのか。それとも「どうやってそこに置いたか」が問題なのか。それとも「なぜその場所を選んだか」が問題なのか。
JR社員が部下に鍵を開けさせた、という事実は、ストリートアートの文法を借用しながらその文法の根拠を破壊している。ストリートアートにおける「到達困難な場所」の価値は、到達すること自体にリスクがあるから生まれる。リスクなしに到達した者が同じ文法を使うとき、その文法は記号だけが残って意味が抜ける。
つまり問題は「模倣」ではなく「簒奪」かもしれない。
しかし、
本当に悪いのか。JRの社員が、再開発を前にして、なにか置きたかった。それは誠実な衝動ではなかったか。権力の側にいる人間は美的な衝動を持ってはいけないのか。
「そこにいてはいけない人がいた」という構造を持っていながら、ダジャレのような力の抜けた作風に惹かれてもいた。
そこで、カレー軍艦の作者を呼び、パフォーマンスしてもらうことにした。