元祿百人一句
11. 名月はとうふ賣夜のはじめかな
12. いろ〳〵の名もまぎらはし春の草
13. 二月やまだ柿の木は其通り
14. 岡見する人に欠はなかりけり
15. 筏士の裸をやすき相撲かな
16. 日半は明日のためなり山櫻
17. 山ふかみそれにうき名よ姫くるみ
18. 蜘の巢はあつきものなり夏木立
19. すゝはきや餠の次手になでゝ置
20. 呂の調啞の口にもそなわれり
21. 山里や頭巾とるべき人もなし
22. 鑓持はかたげて走る花野哉
23. 豐國やよるの椿の落る音
24. 草の實の飛ぶに動かぬ胡蝶哉
25. 雪月や我人ともに氣にいらず
26.
27.
28. ゆく水や何にとゞまる海苔の味
29.
30.
31.
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38. 若菜摘けふはづかしき手の太
39.
40.
41.
42. 卯の花や里の見えすく朝朗
43. 杜若石菖ひくゝ見えてよし
44. 夕顔や名を落したる花の形
45.
46. 草庵と捨しも秋や花の庵
47.
48.
49.
50.
51.
52.
53.
54.
55.
56.
57.
58.
59.
60. みやえ方氷飛ぬく鯉のいを
61. ぬしは誰木綿なだるゝ秋の雨
62.
63.
64.
65. 能因が車おりけむ門の松
66.
67.
68.
69.
70.
71.
72. 棹添て置ぬ船なり杜若
73.
74.
75.
76. 寒月や居合をしへの葭がこひ
77.
78.
79.
80.
81.
82. 晩鐘の姿を見する柳かな
83. うららなる物こそ見ゆれ海の底
84.
85.
86.
87. 傘かしに出ばや今宵月の雨
88.
89. 齒固や伊勢の太夫の鰹ぶし
90. 白雨の隈しる蟻のいそぎかな
91.
92.
93. 虫ひとつある甲斐もなき今宵哉
94. 朏にかならず近き星ひとつ
95. 時鳥筧はふとき寐覺かな
96.
97.
98.
99. 次の夜は唯ひとりゆくすゞみ哉
100. 先たのむ椎の木もある夏木立