適切なフィードバックを得るためのスプリントレビュー参加者の選び方
スプリントレビューに参加する人は毎回同じではない
スプリントレビューの目的は「インクリメントに対してステークホルダーからフィードバックを得ていること」です。したがって、インクリメントやスプリントゴールが変われば、フィードバックを欲しい相手も変わるはずです。毎回同じ顔ぶれでは、得られる視点や意見が偏り、チームが見落としている観点に気づけないままになってしまうかもしれません。 参加者はスプリントゴールやインクリメントの内容によって変わる
効果的なフィードバックを集めるには、「何をつくったか」といったインクリメントももちろんですが、「なぜそれをつくったのか」「その体験でどんな価値を届けようとしているのか」といったこともわかっているとより効果的な場になります。
たとえば「検索体験の改善」がスプリントゴールであるなら、それに関心を強く持っている人や、実際にその機能を使う可能性のある人がスプリントレビューに参加することでより効果的なフィードバックが得られます。 スプリントプランニングでスプリントレビューに誰を呼ぶかを考えておく
スプリントプランニングが終わる(=スプリントが始まる)前までにスプリントゴールを決めますが、その決める過程で、「どんな成果を届けたいのか?」「誰に体験してもらい、どのようなフィードバックを得たいのか?」を話し合い、その人たちにスプリントレビューに来てもらうように招待をします(招待状のようなものを作ってみるのも良いと思います)。 こうすることでスプリントレビューでどのようなフィードバックを欲しいかがより明確になり、そのためにはプロダクトバックログのどれにどのように取り組むのがよいのか?といったような計画づくりの質も変わります。
適切な人が参加していないと、スプリントレビューの効果が薄れてしまう
いつも同じステークホルダーが参加していると、スプリントレビューが単なる進捗報告になったり、フィードバックがあまりにも散らかりすぎてムダが多くなることもあります。意味のあるフィードバックを得るためには、その内容に関心や影響を持つ人が参加している必要があります。
適切な人がいなければ、レビューの内容もかみ合わず、せっかくのフィードバックの機会を逃してしまいます。また、参加するステークホルダーも「自分に関係のない内容」であれば関心が薄れ、建設的なコメントを出しにくくなります。それではお互いにとって時間のムダになります。
参加するステークホルダーにも場の目的や期待するふるまいを伝えておく
スプリントレビューの場をスクラムチームからの一方的な進捗を聞くものと思っているステークホルダーもいます。スプリントレビューを効果的にするためにはその場に参加するスクラムチームだけでなくステークホルダーも場の目的やそれを効果的に実現するために期待されるふるまいを知っておくと良いでしょう。
そのためには、スクラムチームが事前にステークホルダーに上記のことを伝えておくのも1つの工夫です。
おまけ:スプリントレビューに誰を呼ぶか?のやりとり
スプリントプランニングにて…
Aさん:「次のスプリントレビューでは、新しい検索体験の使い方を見せたいね〜。これがスプリントゴールよね」
Bさん:「誰にさわってもらってフィードバックもらいたいかなぁ?」
Aさん:「まずはデザイナーの責任者の○○さんには体験全般のフィードバックがほしいよね」
Cさん:「あ、他にもCSのXXさんたちにもほしいよね。利用者にとってわかりにくいところがなさそうかとか。問合せを受けている観点でなにかもらえそう」
Bさん:「あと、今回の検索体験のターゲットと同じ年齢のYさんにもさわってほしいね」
Aさん:「ってことは○○さん、XXさんたち、Yさんに次のスプリントレビューに来てほしいから声かけるわ」
…みたいなイメージです。