ネガティブ・ケイパビリティ
**ネガティブケイパビリティ(Negative Capability)**とは、「不確実性、曖昧さ、矛盾を抱えながら、それに耐え、それを解決しようとせずにいる能力」を指します。この概念は、イギリスの詩人ジョン・キーツが1817年に提唱したものです。キーツは、芸術家や詩人のような創造的な人々は、あえて答えを急がずに「分からないままでいる力」を持つことで、深い洞察を得られると考えました。
ネガティブケイパビリティの背景と意義
通常、人は不確実な状況や曖昧な課題に直面すると、答えを求めたり、状況を早く解決しようとします。しかし、ネガティブケイパビリティは、解決を急がずにその曖昧な状態にとどまることで、新たなアイデアや視点が生まれるチャンスを作り出すという考えに基づいています。例えば、チームビルディングやアジャイルのプロセスにおいて、明確な解答がない場合にこそ、対話を通じて新たな学びや気づきを得ることができます。
ネガティブケイパビリティを活用する場面
1. 複雑な問題解決: 問題の本質が一見明らかでない場合、不確実性を抱えたままでいることで、さまざまな解釈やアプローチが生まれる可能性があります。
2. イノベーションの促進: アイデア創出の初期段階では、「完璧な解答」を求めるよりも、多様なアイデアが混ざり合うプロセスを重視することが重要です。
3. 人間関係の向上: 相手の感情や反応が理解しづらい状況において、焦って解決しようとするのではなく、理解しようとする姿勢で関係を深めることができます。
ネガティブケイパビリティを実践するためのヒント
忍耐力を養う: 不確実性に対する耐性を高める練習を重ねる。
質問を探求する: 回答よりも「良い質問」を見つけることに焦点を当てる。
対話を重視する: すぐに結論を出さず、探索的な対話を続ける。
リフレクション(振り返り)を行う: 曖昧さを受け入れる中で何を感じ、考えたのかを振り返り、自分の成長につなげる。
ネガティブケイパビリティは、解決を急がないことで深い学びや創造性を引き出す力です。どのような状況であれ、曖昧さをただ受け入れるだけでなく、それを活用する視点が重要です。