Outcomeは「使われたか」ではなく「役に立ったか」
Outcomeは「使われたか」ではなく「役に立ったか」
最近、Outcomeについて考える中で大事だと思うのは、「行動が起きているか」だけでなく、その結果がユーザーのやりたいことや課題解決に影響しているかまで見ることです。
行動の観察だけでは不十分
たとえば、新しい機能として「レポートを表示する」機能をリリースしたとします。利用率をインタビューや日々のデータで確認すると、期待した割合まで利用されていることがわかるかもしれません。これは喜ばしいことで、「使われている」という事実は確かにあります。
しかし、重要なのはその先です。そのレポートを使った結果、ユーザーが本当に解決したかった課題が解決されているのか、または新たな便利さが生まれているのかを、別の観点・方法で検証する必要があります。
成功・失敗の具体例
例えば、次のようなケースがあります。
利用率は高いが価値が生まれていないケース
レポートが頻繁に出力され、何度も利用されているにも関わらず、意思決定の速さや質が向上していない場合です。この場合、レポート内容が意思決定の質や速度において重要な要素ではなかった可能性があります。その結果、「よく使っているけど効果は出ていない」と感じられることもあります。
利用率は低いが大きな価値を生んでいるケース
レポートが使われる頻度は低くても、その1回の利用で意思決定が大きく進み、その後は何度も使う必要がなくなった場合です。この場合、利用率だけを見ていると価値を見落とし、不要な改善や副作用のある改修をしてしまうリスクがあります。
本質的なOutcomeを捉えるための検証方法
「利用率が高くても価値があるかどうか」を判断するには、ユーザーの行動を観察することが基本です。具体的には、以下のような方法があります。
レポート利用後に、それがどのような場面で使われ、どのような結果をもたらしているかを直接観察する(実際に現場を観察するなど)
実際に利用している場面を見せてもらい、活用方法とその結果を確認する
利用状況や結果に関するインタビューを行う
課題解決のログや行動履歴を分析する
観察や分析を通じて、使われているか?という話とそれが役に立っているか?の関係がより適切に把握できるようになります。
利用率のみに頼らない
もちろん、利用率が高ければ役立っている可能性は高いでしょう。しかし同時に「もっと役に立つ方法があることを見落としている」「利用者が機能を十分に活かせていかにことを見落としている」といった可能性も考えられます。
このような機会損失を防ぐために、次のような問いを立ててみる価値があります。
利用率が高く、それが効果を発揮するとすれば、どのようなデータや行動に変化が現れるだろうか?
それを私たちはどうすれば把握できるのか?
利用率と課題解決が紐づいていない場合、今後どんなことが起きる可能性があるのか?
それをどのように検出できるのか?
こうした問いに向き合い、手を打っていくアプローチが、本質的なOutcomeを捉える上で重要だと考えています。
参考
Outcomeの設計と計測のやり方
#Outcome