文化を「作る・広める・守る・変える」
組織にとって文化(カルチャー)は、目には見えづらくとも、日々の活動や意思決定を左右する大きな土台になります。文化は、自然にできあがるものではなく、意識してのさまざまな取り組みが必要になります。
ここでは、文化とどう向き合うかを「作る」「広める」「守る」「変える」という4つの観点から書いてみます。
文化を作る:言語化と意思決定の責任
文化を作るとは、「こういうのがいいよね」と感じる価値観や振る舞いを見つけ、それを言語化し、みんなが共有できる形に整えることです。
その火種は日々の活動の中で自然と生まれてくることもありますが、ただ見つけるだけでは文化にはなりません。
そこから何を残し、どう表現し、「これでいこう」と決めるかといった言語化と意思決定が大事です。
特に「なぜこういう振る舞いが良いのか?」というWhy の言語化は欠かせません。これがないと、ただのスローガンのような表現になってしまい、意思が込められていないものになってしまいます。
文化を広める:共通認識を育てる
文化は作っただけでは根づきません。むしろ「広める活動」があってこそ機能しはじめます。
たとえば、新しく入ってきた人に文化を伝えたり、まだ十分に浸透していない場所やチームに働きかけたりすることも必要な活動です。こうした地道な活動を通じて、文化に対する共通認識が組織全体で揃っていきます。
結果として、日々の会話や意思決定のスピードが上がったり、無用な衝突が減ったりするようになります。
文化を守る:ズレや形骸化から守る
文化がある程度広がってくると、次は「守る」役割が必要になります。
人数が増えたり、時間が経ったりすると、もともとの「こういうのがいいよね」が少しずつ薄まっていくことがあります。また、悪意はなくとも、結果的に文化にそぐわない言動が出てくることもあるでしょう。
そうしたときに、誠実かつ率直にフィードバックできる活動が必要です。
守るべきものを守らないと、文化はただのお題目になってしまい、拠り所としての力を失ってしまいます。
文化を変える:ミッションやビジョンにあわせた変化
最後に「文化を変える」ことも必要な局面があります。
文化は、その組織のミッションやビジョンに大きく影響を受けるため、もしその前提が変わったのであれば、文化もまた見直す必要があるかもしれません。
変化に気づき「このままでは筋が通らないかもしれない」「別の方向に進んだ方がよさそう」と声をあげ、実際に変えていく活動があることで、文化は時代や状況にあわせて柔軟に変化していくことができます。
最後に
文化は誰か1人が作ったり広げていくものではなく、1人1人が育てたり守ったりしていくものと考えています。
「作る・広める・守る・変える」という視点で、自分自身やチーム、組織で文化について問いかけることで、文化との向き合い方は少しずつ変わっていくかもしれません。