対面は増幅器であって、解決策ではない
対面は増幅器であって、解決策ではない
「会って話した方が早いよね」
この言葉はよく聞きますし、私もかなり同意しています。実際、会って話した方がいいアイデアが出ることは多いですし、会話はスムーズで楽しいものです。
ただ最近、少し引っかかることがありました。
リモートワークから出社中心に戻そうとする組織の文脈で「やっぱり会った方が早いから」という理由が語られている場面をいくつか見かけました。もちろん、表に出ているのは理由の一部で、内部ではもっと丁寧に検討されているのかもしれません。 ただ、「会えば早い」という言葉が、やや万能の解決策のように扱われているようにも感じました。
「本当に、会えばすべて早くなるかなぁ?」と思いました。
なぜ「会って話す」のが強いの?
まず、なぜ「会って話す」ことが強いのでしょうか?
その理由は大きく3つあると思っています。
1. 発火性が高い
「ああ、そういえば」「それならこういうのもありますね」「昔こんなことがありました」
こういった会話やアイデアの連鎖が対面での会話では起きやすいと感じています。
同じ空間、テーマを前にして話すことで、記憶や経験が非線形につながります。
これはオンライン、テキストベースのやりとりでは、なかなか起きにくいことです。
2. スピードが出る
誤解はその場で修正できますし、表情や声色、ボディーランゲージのような非言語的な要素をフルに使うことでそのニュアンスが素早く伝わります。
テキストで10往復かかることが、対面では1分で終わることもあります。
3. 感情が乗る
楽しい。 ワクワクする。 一体感が生まれる。
こうした感情の共有は、創造性を押し上げます。
でも、とりあえず会えばいいわけではない
一方で、こんなこともありました。
「会った方が早いから、とりあえず会いましょう」と言って人が集まりました。
しかし、
前提が揃っていない
情報の整理がされていない
何を今日決めたいのかが曖昧
その状態で始まった結果、前提を揃えるだけで時間が過ぎ、議論は深まらず、 終わったあとに「今日は何をしに集まったんだろう」という感想が残りました。
対面には小さくない以下のようなコストがあります。
移動時間
スケジュール調整
心理的な負荷
リモートを好む人の不満
だからこそ「これ、リモートでもできましたよね」と思われてしまったら負けだと思っています。
対面の持つパワーを体験してもらえず、集まる説得力が下がります。また次回があるとしても人が本気で集まらなくなります。
対面は増幅器であって、解決策ではない
会って話すこと自体が強いのではなく「準備 × 場 × 対面」という3つが揃ったときに、初めて強くなります。
対面は「思考を加速させる装置」であり、「思考の摩擦」を高めるものです。だからこそ、摩擦させる材料がなければ、ただ消耗するだけになります。逆に、良い問いと材料があれば、爆発的に広がります。
「対面は増幅器であって、解決策ではない」と思っています。
会うなら、何を持っていく?
もし「とりあえず会いましょう」と言いたくなったら、一度立ち止まって、こう問い直してみるといいと思います。
今回の論点は何?
前提条件は何?
制約条件は何?
今日ここで何を決めたいの?
何を持ち帰りたいの?
また環境に対して以下のような問いも必要かと思います。
可視化できる準備はありますか
誰かが問いを持ち込んでいますか
対面はコストが高い選択です。だからこそ、最大効率で、最大効果を狙いたいものです。
協働を設計する時には、対面を“なんとなく選ぶ”のではなく“意図して使う”ようにありたいと思っています。
あなたのチームは、「会う」という選択をするとき、その効果を最大化するために何をしていますか?