価値があるとはどういうことか?
3つの観点から考える
「価値があるとはどういうことか?」という議論をしました。ここでは大きく「使う人」「提供する人」「作り手」という3つの観点から考えてみます。
使う人にとっての価値
使う人にとっての価値とは、「自分が思っていた課題が解決されること」や「やりたいことができるようになること」です。つまり、「状況が変わる」「行動が変えられる」といった変化が実現できることだと思います。
たとえば「喉を潤したい」という課題があるとき、ペットボトルの水を飲むことで解決される。これも一つの価値です。もちろん、価値の大きさや希少性はありますが、ここでは一旦置いておきます。
また、全自動掃除機(ルンバのようなもの)を使うことで掃除の時間が減り、自分の好きなことに時間を使えるようになる。これも使う人にとっての価値です。
提供する人にとっての価値
一方で、提供する人にとっての価値とは「提供を続けられるだけの対価が得られること」だと思います。典型的なのは収益が得られることです。要するに、サービスやプロダクトを継続できる状態そのものが価値になります。
価値のバランスが崩れると?
「使う人には価値があるけれど、提供する人には価値がない」という状態もあります。たとえば、ユーザーの課題は解決できているのに、十分な収益を得られないケースです。
逆に「提供する人は利益を得ているけれど、ユーザーの課題は解決されていない」という状態もありえます。短期的には成立しても、中期的にはユーザーの不満が高まり、いずれ使われなくなるでしょう。そうなると、結局は収益も失われてしまいます。
もちろん、赤字を抱えつつも「社会的意義」や「将来の成長見込み」を理由に継続しているケースもあります。ここは組織や事業のデザインによるところが大きいでしょう。
プロダクト運営で必要な視点
だからこそ、「使う人にとっての価値」と「提供する人にとっての価値」がそれぞれどう満たされているのか、どの程度バランスが取れているのかを見極めることが、プロダクトやプロジェクトの運営には欠かせません。
価値は変化する
もう一つ見逃せないのは、「価値は時間や環境によって変化する」ということです。
最初は役立つもの、目新しいものだったのに、やがて当たり前になると「同じ金額を払い続けるのはバカバカしい」と感じることがあります。逆に、以前は重要と思っていなかったものが、状況の変化によって「今の自分には欠かせない」となることもあります。
プロダクトマネジメントにおける価値の確認
だからこそ「利用者にとっての価値は永続する」と考えるのではなく、常に利用者が何を望んでいるのかを確認し続けることがプロダクトマネジメントでは大切だと思います。
どうやってそれを確認するか?の深掘りはここではしませんが、基本的には「ユーザーの反応を観察し、数多くの打席に立つ」ことが有効なアプローチになるでしょう。
作り手にとっての価値
最後に、もう一つ大事な観点があります。それは「作り手にとっての価値」です。たとえば以下のようなことが挙げられます。
作っていて楽しい
スキルが上がる
給料がもらえる
自分が「これは役に立つ」と思うものを形にできる
ただし、これは利用者や提供者にとっての価値と一致するとは限らない。ここがプロダクトづくりの難しさであり、同時に面白さでもあるのではないでしょうか。
まとめ
価値は一面的なものではなく、利用者・提供者・作り手それぞれの視点があり、しかも時間とともに変化します。だからこそ「誰にとってどんな価値があるのか?」を問い直し続けることが、プロダクトづくりにおいて不可欠だと考えています。