アジャイルに取り組む前にチーム活動をできるようになる
最初にまとめ
"アジャイルなプロダクトづくり"の前提条件の1つとして"チーム開発"があります
これらは経験学習をもとに継続的に学んでうまくできるようなっていくものです
チーム開発がまだ未熟ならアジャイルなプロダクトづくりに取り組む前に、チーム開発をうまくできるようになることにより力を入れるアプローチをオススメします
"アジャイルなプロダクトづくり"とは?
ここでの"アジャイルなプロダクトづくり"とは、少しずつ実際に動くものを形にして頻繁に実際の利用者や必要としている人に届け、その反応を元にゴールや作るものを変えていくやり方です。
一方、アジャイルでないプロダクトづくりは、利用者の反応を見ないで一度にたくさんのものを作ったり、その反応に無視して元から決まっていた計画どおりに作るやり方です。
これらは0,1ではなく度合いで、プロダクトの状況や取り組む内容によって調整し続けるものと考えます。
アジャイルなプロダクトづくりに必要なチーム開発とは?
"アジャイルなプロダクトづくり"に必要なチーム開発は以下のような特徴があります。
目標の共有:同じ目標を持ち、その実現に向けて協働する
協働の前提:目標の実現のために、相互に助け合う必要がある(独立しての活動では目標の達成が難しい)
チームの構造:相互理解がしやすい小さいサイズで、相互信頼ができている
自己管理的:目標を実現するためになにをどのようにするかを自分たちで決める(自己管理的)
ものづくりの腕前:触れることができる単位に小さく分割する、小さく作る、変化を加える、継続的に改善するといった技術的なスキルを持つ
目標の共有について
なにを作るかを考える企画の人たちとそれを実現する開発の人たちの目標が違っていたりするとうまく協働できなかったりします(企画と開発で異なるOKRを持っていたりするとこうなりがちです)
また、お互いのことをわかっていなかったり信頼し合えていないと「問題 vs 私たち」になりにくいです。こうなっている特徴として「○○側は〜」「XXとしては〜」といった言葉が出てくるのもその1つです。
ものづくりの腕前について
アジャイルなプロダクトづくりの特徴の1つの少しずつ動くものを形にするというのがあります。さらにプロダクトとして利用できる状態を保つことも必要でです。
そのためには以下のようなスキルをチームが持っている必要があります。
利用者から見て意味がある単位に分割する
実現する際にうまく設計する
すでにある部分に新しい変化を加えても問題なく動くようにできる
それらが動き続けることを担保する
継続的に全体に変化を加えやすい状態を維持する
学びながらうまくなっていく
アジャイルなプロダクトづくりとチーム開発を高いレベルで実現することはいずれも簡単ではなく、最初はうまくできないことが多いです。
目標があるにはあるがなかなかみんな腹落ちせず、どこかバラバラな感じがして噛み合わなかったり、お互いの考えや腕前がわからずにスムーズに事が進まないこともあります。
仕様が決まっていたように思っていたが、実はそれぞれ理解や考え、やり方がズレていてそれらがすり合わないままでことがかなり進んでしまってからわかるということもあります。
自分たちで決めてみたが、必要な情報が足りなかったり、足りないことに気づかずに適切でない意思決定をしてしまうこともあります。
小さく作ろうとしても腕前が未熟でうまくできず、全体が動かなくなってしまったり、次に変化を加えようとした時に大変になってしまうような状態になっていくこともあります。
作ったとしてもフィードバックを受け取ったり、うまく扱う活動ができず、結果的にプロダクトがあらぬ方向に変わってしまうこともあります。
このような様々な"うまくできないこと"が起きます。これらにうまく向き合って少しずつうまくなっていく必要があります。
この中心にあるのが、経験主義を軸にした継続的な実験と学習です。ここでの経験主義とは、理論よりも実際に起こった事実を重視し、そこから学びを得る姿勢を指します。実際に起きたこと、起こったことを現実のものとして捉え、そこからなにを実験するか決めて、実験の結果をもとにまた学習するということを繰り返していきます。
アジャイルなプロダクトづくりとチーム開発は重なり合っている
チーム開発が高いレベルにならないと、アジャイルなプロダクトづくりに取り組めないというわけではありません。そもそも、そんな高いレベルになるのを待っているとそれこそ機会を逃してしまいます。実際はチーム開発がうまくなっていく過程で徐々に"アジャイルなプロダクトづくり"に近づいていき、実現できていくことが多いです。
とは言うものの、ここまで書いたようにアジャイルなプロダクトづくりの前提の1つとしてチーム開発があります。自分たちのチーム開発がまだ未熟ならアジャイルなプロダクトづくりに大きく取り組む前に、チーム開発をうまくできるようになるのを目指すアプローチも1つかと思います。