KJ法
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KJ法への糸口
たしか1951年だったか、私は奈良県の都介野町(現在奈良市のうち)へ山村調査に赴いた。ほんの数日だったので、集めたデータカードはそれほどおびただしくない。そのうえ、例の図書カードのサイズだったので、それほど大きくない。そのため、自宅に戻って大机にびっしり置いたら、全部広げて見ることができた。 それを丹念に味わい、意味の近いカードは縁を重ねて置いたら、何となく全体の構図が味わい深くまとまってきたのである。このとき私はひと工夫した。すなわち、相似たカードのセットごとに、セット全体が意味することを、別のカードに圧縮して文章化したのである。それをそのセットの上に、表札よろしく重ね、クリップや輪ゴムで束ねていった。
そうすると何重にも束ねてゆけるので、間もなく全体のカードが数束に減ってしまった。さあこうなると、この数束を意味の上で判りやすい構図に配置することもできた。さらに束を順序よく逆に解体していったら、全部のカードが、細部に至るまで明快な構図のままにチャートになってしまったのである。
ここで私は、KJ法の草案に至る最初のヒントを得たわけである。