胆力のサブセットは「腹決め」と「律する」
迷いがありながらも、それらをすっぱり断ち切って、覚悟を決める。
「腹をくくる」と言い換えてもいい。重要なポイントは、追い込まれて、その決断ができた・できなかったによって評価するのではないということだ。
壮絶なエピソードを振り返って語りながら、どこかそれをうれしそうに、誇らしげに、エネルギッシュに語っているような人が世の中には一定数いるが、彼ら・彼女らがこの、「腹決め」が高めのタイプということになる。
この人たちにとっては、逆境は大好物。むしろ進んでそこに突っ込み、不謹慎なくらい喜びを感じていたりする。成功しているスタートアップの経営者などは、まさにこの典型が多く、「失敗しないぞ」と思いつつも、資金繰りなどでピンチに陥るとむしろ楽しそうにしていたりするのだ。
そういう人は、面接で過去のピンチの話をしていると、目がキラキラしたり、こえのトーンが上がったりするので、すぐにわかる。
パラドックス状態を楽しんでいる強さ
「胆力」のサブセットのもう一つは「律する」である。
きわめて大きな物事を成し遂げようとしているのに、すごく謙虚という稀有な人がこの世には存在している。「自分なら絶対にできる」と信じている反面、「自分はまだまだ。水中を満たしていない。自分自身を厳しく律しないといけない」と考え、その壁を超えていくチャレンジにエネルギーの高まりを感じる人たちだ。この人たちは、「信じているが、信じていない」というある種のパラドックス状態を、深層心理として楽しんでいるのである。
「胆力」は後天的に鍛えられるのか?