『トランスジェンダー問題』第2章「正しい身体、間違った身体」
高井ゆと里氏訳『トランスジェンダー問題』より.pp.101〜168
なんだか日本でもトランス医療に対して,控えめに言って事実や実情を踏まえていないイギリスの議論が輸入されているみたいなので,前に起こしたレジュメを掲載.
本章は,イギリスにおいて,現在進行形で「議論」されているトランスジェンダーの医療に関する間違った問題設定を指摘し,トランスの人たちが生きるためには何が議論されるべきかを説明している.
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本レジュメの方向性
本書全体を通した趣旨として、トランスの実情や事実にそわない誤った問題設定を指摘し、トランスの人が現状被っている状況を踏まえた問題の所在に合わせた議論を立てる、というものがある。本レジュメはこの構図がはっきりとわかるように、本章の順序を一部入れ替えている
本書は一般向けのエッセイとして書かれたものであるが、要約者の管見の限り、いくつかの論点が交錯したり前後したりしている箇所があるようにも見える。そこで論点を本書の問題提起に添いつつも少しでもわかりやすくなるように、小見出しとそれにそった並び替えも行っている
それでもなおむずいよね....翻訳特有の分かりずらい表現とかあるし.→つまりトランスジェンダー入門を読もうということになるんですね 最初の中黒だけ読めば,趣旨を追えるようにしてある.時間のない人はどうぞ.
1. 本章における「トランスジェンダー問題」とは?
「ある人がトランスであると知った時、そこで最初に出てくる本能的な反応はいつも、その人の手術の状態について詳細を尋ねるというもの」(101)
認知と可視化がが進むにつれて礼儀正しさは増すが、婉曲的な言葉遣いで粉飾されただけ
21世紀に至っても、トランスを「医学的freaks」として、センセーショナルに展示するような文化が続いている
e.g.「元大工のトランスセクシュアル、『NHSに乳房切除を拒否され』た後『半分男で半分女』のままにされる」
「こうしたストーリーは医学的な性別の再割り当てを求める人々を嘲笑し、性別違和のリアリティへの軽蔑に加えて、トランスの人々に対してケアを提供しているという理由で、NHSそのものへの軽蔑を招いている」(102)
「「トランスのヘルスケア」について語ることは、トランスたちの身体的な健康一般、性の健康、そしてメンタルヘルスについて語ることを意味していなければならない」(102)
本章では、いかにしてヘルスケアが今日の英国のトランスにとってしばしば抑圧的な経験となっているかを探求する
cf. Pearce(2018) Chapter 3. GPからの差別的経験、性別移行医療の窓口の少なさ、それに連関したとてつもなく長いwaiting list、更新されず運用されるガイドラインの話...
「トランス可視化の運動は、多くの場合はトランスの身体とヘルスケアについての議論を避けようとしてきた」(105)
なぜなら、性別移行と手術の話にばかりフォーカスが当たることによって、本当の問題の所在が見えなくなってしまうからである
とはいえ、トランスの人々が直面する健康、well-beingに関する問題、医療ケアやヘルスケアに関する困難についての議論は重要である
英国のトランスたちは、ヘルスケアに変革をもたらそうと試みてきた
トランスの患者への医療上の不適切な診療とされる事例集がGMCに提出された。これはSNSの#TransDocFailタグにより集められたものである(匿名性の問題によりGMCはほとんど受理しなかった)
ここで明らかになったのは、「トランスの人々と医師の間に存在する権力の力学」「医学の専門家たちにはびこる酷い偏見と無知」(108)
キリスト教右派や反トランスの人々は、トランス医療は多額の儲けを生み出すような資本主義の陰謀で、利用者はその食い物にされているという陰謀論を唱える
事実は全くの逆!
2.トランス医療の現状に至るまでの背景
ジェンダー非定型な人々は人類史で普遍に存在した
「トランスジェンダー」という概念は、19C後半ごろ、ジェンダーの逸脱に対する捉え方のもとで誕生した
当時、ジェンダー逸脱的な行動を同定し、治療するような試みがなされるようになった
初期の性科学で影響力を持った発想は「性的倒錯」:反対の性別に結びつくはずの行動をしている人を分類。この発想は、19C前半の性ホルモンに関する知見の蓄積には矛盾する発想ではあったが、広く医学の実践として取り入れられるようになった
e.g. 同性愛者の女性にエストロゲン(「女性らしい」行動をするようになることを期待)を処方する
e.g. 精神療法や嫌悪療法で、性的倒錯を「治す」
ジェンダー多様性を理解するためのモデルの先駆者は、マグヌス・ヒシュフェルドであった
彼は、The Transvestites(1910)という本で、セクシュアリティとジェンダーを区別。彼が設立した性科学研究所は、戦前のジェンダー・セクシュアリティ医療・研究の中心地となった
ヒシュフェルドおよびベンジャミンが創設した「性転換症(Transsexualisms, Transsexual)」概念は、医療を用いて反対の性別で生きることを願う人々を英語圏において概念化した
トランス医療に関する進歩は、20C初頭から漸次的に行われてきた(115).同時に、「誰がいつ性別移行できるのか」を決定できる権力が、少数の医療者の手に集中するようになっていった(→ゲートキーピング問題)
トランス医療の基盤は20Cに誕生したが、医師たちはそれを「受け入れ可能な」トランスや、ひいてはジェンダー二元論の境界を管理する手段として理解していた
医師たちは、ホルモン療法や性別適合手術を「受けるに値する」ような人たちとそうでない人たちを、ジェンダーステレオタイプを始めとした偏見に満ちた基準によって分類した(ゲートキーピング)
その基準の一部は現在においても有効である
→cf. Shuster(2021) Chapter 1. USの文脈
1990年代以降、(カナダ、ニュージーランド、US、多くのヨーロッパでは)インフォームド・コンセントが鍵となる基準に。しかしイギリスでは、システムの大部分が改革されないまま(116)
なお,イギリスにおける性別移行医療は、ヒシュフェルドとは異なる文脈を持つ
マイケル・ディロンというトランス男性と、彼の自伝に注目したロバータ・カウウェルというトランス女性が、1940-50年代に草分け的に医学的処置を用いて性別移行を行っていた
とはいえ60-70年代は、ほとんどの医師は治療を行ってくれなかった
イギリスで初めてジェンダークリニックを設立したのはジョン・ランデル医師である
当時性別移行のために医療を利用した人々のうち、大多数はジョン・ランデルに接触を持っていた
彼は、トランスの人々を強迫観念に取り憑かれた精神異常者であるとみなした。同時に、ジェンダーのステレオタイプを高度に模倣する能力を備えていない限り医学的介入を認めなかった
また,90年代前半までには、成人については個人史と違和の経験についての説明が、診断の基準として利用されるようになる
医療を受けるには「受け入れられやすいナラティブ」に自分を当てはめる必要があった
トランスの人々はしばしば、ジェンダーのステレオタイプを過剰に内面化している「パロディ」として扱われることがあるが、それは、トランスが置かれてきた状況(そうしなければ医療にも社会においても自身のアイデンティティが保障されない)を残酷までに軽んじている
3.中絶とトランスに関わるヘルスケアの問題は連関している
トランスのヘルスケアの発展・状況は、リプロダクティブ・ライツの発展(安全で合法的な中絶へのアクセス)と類似している
UKでは、中絶は基本的には犯罪行為であり、例外は(1967年の法律による)2名の医師による認可と、妊娠を終わらせる正当な理由がある場合のみ。
中絶の権利とトランスのヘルスケアへのアクセスは、共にイデオロギー的な戦場であり続けてきた(112)
それらを必要とする人たちにとっては、個人が持つ身体的な自律性や、精神の福利に関する権利、ジェンダー役割に沿わない自由の問題である
一方、この2つの医療アクセスは同じような仕方で攻撃される。後悔している人の確率を過剰に表現し、「後悔している」事例をメディアで不釣り合いなほど焦点化され、治療を遅らせたり控えさせることを正当化する
なお、中絶を何ほどか後悔している人の割合は5%, 性別適合手術は0-2%程度
「ヘルスケアアクセスを攻撃するのが保守派の政治家であることには、それゆえ不思議なことは何もいない」(113)
US: e.g. 2016-2020のトランプ政権
UK: e.g. 保守党議員デイヴィッド・ディヴィス→反トランスのロビー団体のスポンサー、同性婚に反対票、中絶の制限を24週から12週に減らすことに賛成
トランスの問題と中絶の問題をアナロジーで考えることは有益である(114)
理由:リプロダクティブ・ライツの問題の方が、より人々にとって関心がある
理由:脱病理化されたトランスの人々にもNHSでの医療提供が必要な理由が、妊娠に対するヘルスケアが必要な理由を通して理解しやすくなる
背景:ICD-11の効力発揮により、トランスのアイデンティティは精神障害ではなくなった
これは、公的なヘルスケアのアクセスが必要なトランスにとっては緊張感がある決定
トランスたちを病気であるかのように「扱わない」という決定が、保守党政権のもとで、予算削減や民営化の名の下で、公的なヘルスケアのアクセスを削る方向性に向かうかもしれない
保守政権は、陰謀論を支持しつつ、実際は保守政権自身が利益を生み出すことを重要視する私的な医療へと流すような政策を行おうとしている
4.UKにおけるトランス医療の現状:性別移行医療へのアクセスの障壁
UKでは、性別移行に関連する医学的ケアを受けるには、GP(かかりつけ医)を通して,(UKのNHSには7つしかない)ジェンダークリニックを紹介してもらわなければならない
USやカナダでは、複数のヘルスケアセンターで、インフォームド・コンセントモデルに基づいて、診断がなくともホルモン療法を始められる状況になっている
要約者注意:本当かどうかは少し疑問。カナダは一般に救急以外のウェイティングリストが非常に長いこと、GP制であることからUKと状況が近いのではないか? USの場合、そもそも保険適用という概念がほぼなく、より消費者主義が強いので、また別に議論する必要があると思われる
要約者注意:日本の医療は完全にUK型という129ページの注は不正確。日本はNHSのようなGP制ではなく、(精神科の診断書が必要なことがある)フリーアクセス制と理解するのが正確と思われる。
また、保険制度が実質的に機能していないこと、受け皿となる医療機関も十分でないことにより、ガイドラインに記載されるジェンダークリニック制度がUKと比べて実効性を有していないこともまた指摘されるべき。
GPは専門医ではなくトレーニングを受けていないため、紹介が適切に行われないこともある
ジェンダークリニックに紹介されたとしても、身体的な介入に必要な2回の面談を行うまでの待ち期間が非常に長い(ホルモン治療までに3-4年)
なお、脱毛もジェンダークリニックでおこなうことができるが、この待ち期間も非常に長い
性器の再建手術に関しても、UKでは外科医の外科医が6人しかいないこともあり、待ち時間が非常に長い
なお、手術=性器の手術という発想は短絡的(生活には声や顔といった身体の部位の方が重要)だが、性器の手術が重要と考える人々は少なくない
ホルモン処方はGPが行うが、GPは自分の能力を超えていると判断し、ホルモン処方を拒否することがある
まとめると、NHSのジェンダークリニックシステムは限界を迎えている
5.トランス医療に内在する権力性:「ゲートキーピング問題」
トランス医療の問題は権力の問題であり、単に医療資源が補完されるだけでなく、トランスのヘルスケアの文化が変わる必要がある
「ゲートキーピング」問題:アセスメントと診断に強調をおく現在のシステムによって、医療者たちはゲートキーパーとしての役割を実際にはたし、それゆえ「ジェンダーのエキスパート」としての権力を行使することに繋がる
面談の中で、性の経験を徹底的に説明し、人によっては自分の説明を「立証する」ことのできる人を連れてくるよう求められる
筆者は、喫煙者であること(医学的な理由もあるが、治療の先延ばしをおそれて禁煙をしたふりをするようになった)、法律上の名前を変えていないことを理由にホルモン治療の先延ばしをされた(これには全く理由がない)ことがある
おぞましい例:リーズ&ヨークのクリニックにおいて、(患者の性器の身体検査は現在のSoCやNHSの細目では非推奨なのにもかかわらず)性器の検査を受けさせられていた
SoC-7は、胸部や外性器の手術は不可逆的であるため、自らの「望む」ジェンダーで1年以上の生活を送る(いわゆるRLE)ことを要求する
UKではその証拠を出すことを患者に提供するが、それは主観的なものであり、臨床医のフィルターを通して判断されるリスクがある
RLEは端的に言えば、「シスジェンダーが支配的な環境で、シスジェンダーから受容されること」を医師に証明する仕事が課せられる。
「手術へのアクセスに対して他者たちの社会的な同意が必要であるというこのセンスは、有色のトランスや、自閉症などのニューロダイバースなトランスにとっては、より一層過酷なものになりうる」(141)
医療における人種的バイアスにより、黒人トランス(特に女性はとりわけ見た目について、「男性すぎる」と言われる)は制度的レイシズムを経験する
多くのジェンダーに関する臨床医と外科医はシスジェンダー男性であるため、自分の性の話をすることが安全な場として感じられない人もいる
性器の再建手術に関して、見た目や(膣の)深さといった、裏付けしやすいものが優先され、快感や感覚に関する関心が無視されることがある
6.子供の医療アクセス:「思春期ブロッカー」をめぐる問題
トランスの子供たちは、「トランスの大人のようには、公的な生活空間において自分自身の利益を主張することができない」(144)
とはいえインターネットとSNSによって可視性が増したおかげで、多くのトランスは自分の感情を早期に表現できるようになってきている
重要な前提:UKにおいては、18歳未満は、性器の再建手術を行うことができず、さらに子供における「移行」とは、基本的には社会的な移行のことを指す。医学的な移行は、思春期の性ホルモン生成の時期に始まる。
思春期が始まり、身体に対する苦痛が感じられる子供たちには、1990年頃以降(1970年ごろからシスの子供の思春期早発症に使われていた)「思春期ブロッカー」を投与することで、思春期が引き起こす不可逆な変化を止めることが可能になる
ブロッカーを入れた子供は、ある程度成長した後、自身の身体による二次性徴か、クロスホルモン投与による二次性徴かを選ぶことができる
「思春期ブロッカー」は、必ずしも望めば手に入るという保証はない
USでは、アーカンソー州において、18歳未満の子供に思春期ブロッカーを行うことが禁止。アラバマ州では19歳未満が性別移行医療を受けることが禁止される。2021年現在、16州で同様の法律が草案されている。
UKでは、2021年Bell v Tavistock裁判によって、16歳未満のブロッカーには裁判所の許可が必要とされるようになり、NHSはGIDS(Gender Identity Development Service, イングランド、ウェールズにおいて思春期の性別違和を扱う唯一のNHSクリニック)に患者を紹介するのを止めてしまった
ただし高裁で一部覆され、保護者の許可があった場合はブロッカーを利用できるようになった
そもそもUKでブロッカーは3年待ち:思春期で3年待ちだと適切な時期に二次性徴を止められない
医学的介入を受けられる子供はそもそも少ないぐらいUKの医療は保守的
ヘンリーの例(トランス男性)学年の経験:学校へのカミングアウトは簡単だった。母親は「理解するのにちょっと時間がかかる」人だった。しかし、ジェンクリの臨床医は同じような質問をし、語りづらく苦しい違和の語り直しをさせられた。ヘンリーは男子として生活しており、さらに不可逆的な二次性徴があったのにも関わらず、治療プロセスが何度も何度も引き伸ばされ、結局18までホルモン投与ができなかった
治療プロセスの中でのトラウマ(156-7)
GIDSは精神力動系のアセスメントプロセスを採用しており、子と親に対して、幼少期の経験を徹底的に探索される
質問の意図がわからないような質問を延々とさせられる
「そのプロセスは、長い長い、感情をぼろぼろにさせられるプロセス(158)」
7.イメージに基づいた、間違った問題提起
2016年、「トランス調査」はNHSのトランスへのヘルスケアアクセスの事情について強い懸念を表明した
しかし、保守党政権はこの問題には熱心ではなく、むしろ2004 GRAの改正に舵を切った
保守党政権は、大して経済力を持たないマイノリティのための公的支出を増やすことには熱心ではない(132)
トランスの政治的優先順位にとって、ヘルスケアの改革はその頂点に迫るだろう
しかしメディアもNHSの仕組みがさび付いた仕組みになっている,という問題には無関心.その代わり「性転換の後悔」の話ばかり引用され続ける
e.g. クラウディアのインタビュー
これは、おびただしい数の人があまりにも早急に不可逆な「性別移行」をしているという、漠然としたデマへと外挿されていった(134)
メディアで流される「後悔」の話は、事実と異なるものが多々ある
e.g. チェルシー・アットンレー→メディアは「NHSで性転換のオペのやり直しにかかる1万ポンドを要求している」
実際はチェルシーはそもそも性別適合手術をしておらず、私費で豊胸手術をしただけ
e.g. リア・クーパー→精神疾患を理由に数年間ホルモン治療を止めただけなのにも関わらず、完全な性別の再移行をしているという記事を書かれた
性別移行を後悔するわずかなトランスは、「わがままで傲慢な存在」ないしは「カルト集団に騙された、可哀想な被害者」として描かれる
cf. The making of a detransitioner: こうしたストーリーが取り上げる側が徹底的に歪め虚構を混ぜることにより生成されていることを、ある利用されたElisa Rae Shupeが告発したもの
こうしたストーリーが、「医学的な性別移行には疑問の余地があり、あまりにも早急に行われるため、後悔が一般的になっている」という印象をもたらしている
実際は全く異なる。適切な医学的介入は性別違和の緩和にとって非常に効果がある
94%の人が性器の手術に満足している。
保守的なUKのメディアは、性別移行を臨むトランスの子供たちのことを、あたかも「ミソジニーやホモフォビアによって、女性の性徴から逃げたくなったティーンのレズビアンやautismの子がトランスジェンダーと言っている」かのように報道する
あるいは、拒食症や自傷行為をする人々として混同される
ヘンリーは、こうしたナラティブはさんざんonlineで存在していると証言する
このような混同されたナラティブは、トランスの子供たちの実情を反映していない
もちろんautismや拒食をする人もいるが、それは別のサポートが必要なだけであり、混同することこそ本人にとって有害
また、こうしたナラティブは、トランス男性たちを子供扱いしている
ホルモン治療をしない/遅らせることは中立ではないし、科学的でもない
結語:連帯に基づくヘルスケア構造変革のための運動の可能性
ウェイティングリストが飽和している以上、次に取るべきステップは明らかである(162)
i.e. トランスの家族、臨床医、LGBTQ+組織、フェミニスト、政治家などと連合して、トランスのためのヘルスケアを実現していく
性別移行はもちろんだが、加えてセクシュアルヘルス、リプロダクティブライツ、メンタルヘルスの領域においても、トランスの人々は無知や偏見に起因する困難を経験する
世界的には、トランスの人々は性別の法的承認に不妊化が義務付けられてきた
UKでは不妊化要件はなかったが、性別移行医療は不妊化を伴うにもかかわらず不妊治療や生殖医療補助技術へのアクセスは高額である
加えて、「トランスの人々は決して生殖をするはずがない!」(167)という前提がある
今のヘルスケアの状態は、シスの人々の好みに合わないものを隠蔽し、私たちの存在が社会にとって持つ意味を消し去るために作られものだ(167)
しかし、多くのマイノリティとの連帯により、この状況への抵抗の運動を形作ることができる(168)