実効再生産数と予防接種の効果の関係
twitterで下記のような話を見かけた。数学セミナーの西浦先生の記事がソースとのこと。
https://twitter.com/h_okumura/status/1427153829099757573 https://gyazo.com/fd3722df42422ea23d4e64ea625c6c97
基本再生産数$ R_0 、実効再生産数$ R_v 、ワクチンの接種率$ p 、予防効果$ \varepsilon とすると、$ R_v = (1-p \varepsilon) R_0 となるというモデルである。$ R_v < 1 として$ p について解くと、
$ \frac{1}{\varepsilon} \left ( 1-\frac{1}{R_0} \right ) < p
が得られるので、$ \varepsilon, R_0 から接種率がどの程度必要なのか計算することができる。実際に計算してみると下記のようになった。
https://gyazo.com/f163079193b4e51015627415cd64da96
最近、デルタ株の登場によりワクチンによる集団免疫シナリオが消えたという話をよく耳にするようになった。上記のモデルによると、確かに$ R_0 =5 以上になってくると$ \varepsilon = 0.8 では追いつかず、もっと強力なワクチンを100%近くの接種率まで打ちまくる必要が出てきてしまう。それは現実的ではないので、実質的な$ R_0 を下げるような他の感染対策も続ける必要がある。
仮に$ \varepsilon = 0.8 とするなら、接種率90%まで到達しても収束に向かうのは$ R_0 < 3.5 である。これとデルタ株の$ R_0 = 5 \sim 8 とのギャップを埋めなければならないわけで、専門家たちが口を揃えて「以前と状況が全く異なっている」と叫んでいる理由がよく分かる。