自然主義的誤謬
事実命題(X is Y)が真であることから、規範命題(X should be Y)が真である、と結論づけること。 あるいは事実判断から、価値判断を引き出すこと。
例
「誰しもいつ死ぬのだから、重罪を犯した者に対する死刑は正当化されるべきだ」 ヒトがいつしかは亡くなるという事実は、死刑を規範として正当化する根拠にはなり得ない
「動物園にきた。ああ、ゴリラは可愛いな…おや、メスが子育てをしてそれに専念しているようだね。ほら、ヒトもメスが子育てに専念すべきなのだ」 「オスが浮気するのは本能。ゆえにこれは仕方ない…法で認めるべきだ(法で規制すべきではない)」
オスは、多くのメスと交尾することで繁殖成功を高めることができる。これが前者の主張。
いっぽう後者では、法という規範的な命題に言及している。前者は後者の主張を正当化するための根拠になり得ない。
「日本には多くの外来種が侵入して分布を拡大させているが、これは自然の性だ。よって、それらを法で以って制限し、拡大するのを防ごうとするのは、自然の理に逆らっていることに他ならない。やめるべきだ」 「体外受精は、本来ならば(高度医療が発達する前は)有り得なかった。よって、そのような治療をすべきではない(法で規制すべきである)」 分析
「どうして前者の主張が、後者をサポートする根拠になりうるのですか?」と問うてみる 仮定した命題(X is Y)を、得られる命題(X should be Y)の根拠とすることができないので、得られた命題の真偽は不明なまま