人々の幸福感は何に依存するか
1. 男性は平均的には女性より不幸であるが、喫煙習慣をコントロールすると、有意に不幸であるとはいえない。 2. 全ての属性をコントロールすると、20歳代から60歳代まで、年齢が高いほど不幸である。
3. 世帯所得と一人あたり所得が大きいほど幸福であるが、その増加は逓減的である。平均的な幸福度を見ると、高い所得階層では幸福度の飽和が観察される。 4. 資産が多いほど幸福であるが、平均的な幸福度はかなり低い資産額で飽和する。 5. 所得などを調整しても、学歴が高い人ほど幸福である。ただし、短大卒は高卒よりも幸福度が低い。 6. 所得などを調整しても、求職中の人は不幸である。 7. 所得などを調整しても、パートで働いている主婦は無職の主婦より不幸である。このことは労働が負効用をもたらすと解釈できる。 8. 都会に居住するものは幸福である。とりわけ、13大都市居住者は幸福である。
9. いろいろな属性を調整しても、地域による幸福度の違いが観察される。
10.「他の人の生活水準を意識している」人ほど、「できるだけ質素な生活をしたい」と考える人ほど、「お金を貯めることが人生の目的だ」という人ほど、有意に不幸である。利他的な人は有意に幸福である。 11. 消費は所得ほど明確に幸福度に影響しない。このことは貯蓄も効用を生むことを示唆する。
12. 所得より生活水準のほうが幸福度に強い影響を持っている。このことは、絶対所得水準より相対所得水準の方が幸福度に重要であることを示唆する。
16. 時間割引率については、選択する行動変数を通じて幸福度に影響するが、危険回避度はそのような経路による影響は小さい。
17. 環境(生活水準)が高くなると、時間割引率が高い人ほど、また危険回避的な人ほど、より幸福になったと評価する。