ブランコ・ミラノヴィッチ「資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来」
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もうひとつの戦略は習近平が用いたもので、腐敗と戦うことが重視された。この戦略は意思決定における自由最良の原則には対処しないが、その目に余る乱用については厳しく取り締まるというものだ。
イングランド、のちにアメリカと日本の発展の仕方にならった旧来の見方によれば、国々は高い関税をかけて保護する輸入代替段階において単純生産品の輸出を発展させ、その後徐々に付加価値の高い複雑な製品に移行した。これは1950年代から80年代にかけて大半の開発政策が根拠とした発想だった。韓国、ブラジル、トルコはこうした政策に従った国の格好の例だ。ところが1990年代に入って第二のグローバリゼーションが起きると、事態が変わった。
現代の資本主義社会には、コインの裏表となる二つの特徴がある。a 原子化、そして b 商品化だ。
原子化とは、以前は家庭でつくられ、市場の外にあり、金銭交換の対象なかったますます多くのモノやサービスが、ここにきて市場で買ったり借りたりできるにつれて、家庭の経済的な利点が大きく失われることを指している。(中略)他者と人生を共有する必要がますます減っている。最も富める社会が今日、単身家族に近づいているのも偶然ではない。
リベラル資本主義が政治的資本主義に進むとしたら、(中略)こうした対策を実行するために有能な官僚が必要になるだろう。
ひょっとしたら第一次大戦が何よりも否定したのは、資本主義は国家間に強力な経済的相互依存を築くがゆえに平和を必要とする(あるいは平和を促す)といった主張かもしれない。
一般的なかたちの享楽欲ならびに吝嗇とは、金銭的貪欲の二つの個別の形態である。
マルクス「経済学批判要綱」からの引用
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