MX系スイッチの部品
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↑Cherry MX Redの分解図 (Cherry MX公式サイトでは、各スイッチのページにこのような分解図がある)
Cherry MX / MXクローンスイッチは、5種類(数でいうと6つ)の部品で構成されている。
1. top housing (switch top, top, upper housing, 上ハウジング)
主にステムが押下された際のガイドレールの役割を持つ。
ステムが通る穴の広さや素材によって、ステムのグラつきやストロークの滑らかさに影響する。
観点
素材
ステムの滑りの良さや、ステムと上ハウジングの衝突時の音に影響する
例えば、透明ハウジングは打鍵音が大きいとされる (Tealio V2のような例外もある) がステムの滑りは良い
中央の穴のサイズ
ステムのグラつきに影響する
5と合わせて単にハウジングとも呼ばれる。
上下ハウジングを別のスイッチと組み合わせようとすると嵌らないことがある。Switch Top/Bottom Compatibilityを参照のこと。
2. stem (slider, ステム, スライダー)
2-1. leg (レッグ、脚) … 接点と触れる出っ張った部分
2-2. center pole (pole, センターポール) … 下に伸びる丸い円柱部分
打鍵感に大きく関わる部品。
下はスプリングに支えられ、上はハウジングに押さえられて浮いた状態になっている。
上の十字の柱がキーキャップの軸受に嵌る。
観点
表面処理
摺動部の滑らかさが押下時の滑らかさに直結する
素材
一部でPOMやUHMWPEなど摺動特性に優れる素材を採用しているものがある
大きさ
一部のステムは摺動部を少し大きめにしてハウジングとの隙間を小さくし、グラつきを抑えようとしているものもある
TealioとかArctosとかGateron Ink Blackとか
Outemu V2のno-slot topのような、中央の穴のサイズが小さい上ハウジングと合わせるとかなりキツキツになることも
legの形状
ここがまっすぐならリニア、うねうねしてたらタクタイル
(KailhのClick Bar式なクリッキーを除く)
ひとくちにタクタイルといってもいろいろある
→タクタイル感(wip)
(クリッキーの場合)クリック感の出し方
Click Jacket: 青軸などのようにステムの一部が別部品になっている
Click Bar: ステムのSouth側に突起がある(これで下ハウジングについている針金を弾く)
center poleの長さ
Halo Switchやスピードスイッチを始めとして、ここが長いものがある
→ long pole (stem) と呼ばれる
通常はサイドレールと触れる左右の底が下ハウジングに接触することで底打ちになるが、long poleの場合はセンターポールが先に接触して底打ちになる
麻将音と記載のあるものは基本的にlong poleと考えてよい
3. contact (接点)
3-1. leaf (contact leaf, リーフ, 板ばね) … ステムのlegと擦れて動く方のパーツ
電気的な接点の部分。
観点
leafのバネの強さ
タクタイルやクリッキーなスイッチの場合、強いほどタクタイル感が増す
ステムと触れる部分の形状
左側をステムのlegとして横から見たとき、一般的には "く" の字型が多い
ここが "(" 形のように丸いと、タクタイルのバンプがなだらかになる
→Invyr Panda、Zealio V2など
ステムと触れる部分の滑らかさ
品質が相応のものだと押下時にザラザラ感がある
→GSUSやそのクローンなど
4. spring (スプリング)
ステムを支え、押下に必要な荷重を決める部分
観点
強さ (重さ)
タクタイルやクリッキーの場合、通常は同じステムでもスプリングが強いほどタクタイル感が減る
ステムや接点の組み合わせによっては、スプリングが弱すぎるとステムが上まで戻ってこない
自由長さ
長いほど押し込んだ距離に対して荷重の増加量が緩やかになる
逆に短いと増加量がすごい
例えばHalo True、作動が50g前後なのに底打ちは100g近くある
品質
特に安いスイッチに多いが、スプリングがカシャカシャ、キシキシと音を立てるものがある
そういうのもlubeすれば大体良くなる
メッキの効果は分からん
5. bottom housing (bottom, lower housing, housing base, 下ハウジング)
5-1. side rail (サイドレール)…上から見て左右のコの字型の部分。
接点やスプリングの保持とステムのガイドレール的役割。
観点
プレートマウント(3pin) or PCBマウント(5pin)
3pin, 5pin の表記は中華ショップでよく見かける
PCBマウント版は、裏面中央の左右にプラスチックのピンが1本ずつついていて、マウントプレートがなくても安定するようになっている
PCBマウント→プレートマウントの非可逆変換ができる
左右のプラスチックのピンを根元から切る
Gateron系はピンが太めで根元まで挿しづらい
ZealのV2系では改善されている
素材
底打ち時の音が変わる
特にKailh系の一部スイッチ(Kailh Pro、Haloなど)はステムの棒が思いっきり底にぶつかるので、影響が大きい
中央の穴の深さ
Kailh系は深め、Gateronは浅め
中央の穴の内側の壁面の滑らかさ
意外とがっつりステムの棒が擦れているため影響が大きい
大体は滑らかだが、Outemu V2系やGateron Ink Blackなどは一部ざらざらな箇所があったりする