モラルハザード
モラル: 倫理、道徳
ハザード: 危険
危険に対する対応策を考えた結果、危険に対して注意が軽薄化する
リスクの帰着先と行動主体が分かれている時に行動主体がリスクを顧みず非効率な行動すること
Claude.icon
モラルハザードとは、経済学や保険の分野で使われる概念で、以下のように定義できます。
「ある経済主体が、自らの行動によって生じるリスクや費用を、他の主体や社会全体に転嫁できる状況において、リスクの高い行動や非効率的な行動をとってしまう傾向」
モラルハザードが生じる状況の特徴は以下の通りです。
リスクの帰着先と行動主体の分離:
リスクを負担する主体と、リスクにつながる行動をとる主体が異なる状況です。これにより、行動主体はリスクを顧みない行動をとる誘因を持ちます。
情報の非対称性:
行動主体の行動や特性について、リスク負担主体が十分な情報を持っていない状況です。これにより、行動主体の機会主義的行動を抑止することが難しくなります。
限定合理性:
リスク負担主体が、行動主体のあらゆる行動を監視・統制することは現実的に不可能です。契約の不完備性とあいまって、行動主体の裁量の余地が生まれます。
モラルハザードは、保険契約、企業経営、政府の政策実施など、幅広い経済現象で観察されます。代表的な例としては、保険加入者が保険金目当てでリスキーな行動をとったり、経営者が私的利益を追求して会社に損害を与えたりするケースが挙げられるでしょう。
モラルハザードへの対策としては、情報の非対称性を緩和する情報開示ルールの整備、モニタリングの強化、適切なインセンティブ設計などが考えられます。モラルハザードが発生しにくい制度設計や契約設計を工夫することが重要だと言えます。