キャッチーファースト
ワークウェアのネーミングテクニックの一つで、名前は厳密性よりも面白さや目を引く度を重視した方が良いという経験則。 背景
1 哲学的な話になるが、究極的には名前そのものに意味はない
海という概念は日本語では「う」「み」で、英語では「s」「e」「a」だが、これはそう決まっているからにすぎない
名前は概念を区別するためのラベルにすぎない
2 周知、啓蒙、理解においては名前は重要である
いかに目を引くかが重要となる場合がある(キャッチー)
わかりやすくかつ端的に理解するために、わかりやすさを優先した名前付けを行うことがある(たとえ、は誰でも知っている技法)
また人間なので語感といった「言葉の質感」にも影響される(かわいらしさや親しみやすさを出すためにあえてひらがなを使う)
3 造語は伝わらない
概念と名前の対応はある種訓練のようなものであり、概念Xに名前Nが付いているのだという対応を無理やり覚え込むようなもの
既知の概念や(既知の名前から成る)新しい名前であれば、造語であっても伝わることがある
しかしそれらがない場合は、そもそも対応を知らないので伝わりようがない
Xを理解し、かつXにはNがついているのだという対応を受け入れることでしか定着しない
4 現在当たり前に知られているものでも名前は案外雑だったりする
例: プログラミング言語のRuby(紅玉)やPerl(真珠)
誕生した月の誕生石からつけている
例: ●●一号、●●二号
区別さえできればよいとして連続性のある単語をあてていくことは多い
1+2+3+4、このような状況を考えると、名前の厳密性にこだわりすぎても大して意味がない(ことがそれなりにある)ことがわかる
では厳密性のかわりに何を重視するか
ワークウェアエンジニアリングの文脈で言うなら、たとえば以下を満たせるとよいだろう
ワークウェアXに最も頻繁に言及する自分のため
Xを多くの人に知ってもらう・見てもらうため
Xをかんたんに理解してもらうため
これらを満たせるのは、たとえば以下のような名前である
面白い名前、面白そうな名前
目を引く名前
わかりやすい名前
不思議な名前
さて、ここまでくると、厳密性ではなく●●を重視した名前の付け方、というあり方が考えられる
●●としてひとまず「キャッチー」を採用してみることにした
参考
シニフィアンとシニフィエ
冒頭の海の議論には名前がついている
フェルディナン・ド・ソシュールによってはじめて定義された言語学の用語