管理2.0
出力を管理するのではなく、理想状態(高いパフォーマンスを持続的に出せる状態)を維持できれば良い、という前提のもと、理想状態の因子を計測するという管理のありかた。
背景
管理1.0は長らく当たり前に使われてきたが、現代ではそぐわないシチュエーションがある
ナレッジワーク(直接成果に繋がるわけではない何か、特に何らかの知識(ナレッジ)を生み出す仕事)
新事業検討や組織改善
個人的な仕事のやり方や考え方の改善、修正、振り返り
エンゲージメントや心理的安全性の取り組みなど、ビジネス(を行う各個人)を支える活動
勉強全般 etc
別の管理メンタルモデルを採用したありかたが見られている、たとえば:
セルフモニタリング。自分に関する因子を毎日モニタリング、記録することで「どういうときに上手く行くか(行かないか)」がわかるようになる この新しいあり方を捉えたい、というわけで管理2.0と名付けてみた
概要
管理2.0では出力を管理しない
かわりに以下を採用する
性善説。基本的に真面目に働く・成果を出すはずだ
ベストエフォート。実際に出てきたパフォーマンスがFactであり、それを尊重する
理想状態。高いパフォーマンスが出る状態が各々またはチームにあるはずで、それを模索する
理想状態のモニタリングを行えばよい
Q&A
Q: 全く管理しない、でいいのでは?
Ans: 少人数だったり優秀な人材だったりすればそれも可能
しかし、
マジョリティに管理無しで自立的・自律的に動けるだけの力はなく、何らかの管理は必要である
少人数を超えた規模の組織についても、何らかの管理は必要である
Q: 成果物やコストも全く管理しないということ?
Ans: 下記参照、場合分けして回答する
Q: 具体的に予実管理、進捗管理、基準管理は、管理2.0ではどうなる?
予実管理
Ans: 管理しない
羅針盤的な仮説や目安として予測をつくってもいいが、これに従うことを目的にしてはいけない
仕事をある程度行えば、個人やチームのパフォーマンスもある程度わかる
それをベースに理想状態を定義すればいい
たとえば「週に終わったタスクの数(理想は15)」といった因子を定義できる
進捗管理
Ans: あまり管理しない、モニタリングとスポットフォロー
進捗管理とは「計画をつくり、そのとおり進んでいるかを管理すること」だが、
計画についても上述のとおり「仮説」や「目安」とする。必達ではない
進んでいるかの管理については、細かくはしない。モニタリングはしておき、問題がありそうならその都度フォローする。そのためには記録の自動化が望ましい
基準管理
Ans: あまり管理しない、定性的にレビューに集約する
基準管理は(典型例である品質管理を思い浮かべてもわかるとおり)管理1.0のメンタルモデルから最も抜け出しにくい管理である
全く管理しないのでば品質にばらつきが生じることは明らかである
一つの解として、定性的にレビューベースにすればよい
要所要所で成果物をレビューする、かつレビュアー達がOKと判断すればOKにする
別の言い方をすると、管理1.0的なプロセスではなくレビュアー自身が責任を持つということである
基準管理とは統一でもあり、統一は(効率やブランディングの意味でも)重要だが、それでも管理1.0という過剰な管理を「持ち出さなくてもいい」部分は多数存在する
ゼロにはできないが、ある程度減らすことはできる
Q: 管理1.0的管理を生業としていた人たちはどうなる?
Ans: 管理2.0を生業にすればいい
かつ、メンバーが理想状態を維持できるようなあらゆるサポートを行う
つまり管理者は(管理2.0では)モニターかつサポーターになる
非常に単純な例: チームメンバーの管理
以下を毎日モニタリングする
「今日は高いパフォーマンスが出せたぞ、と思った回数」
「打ち合わせした回数」
「作業中に割り込まれた回数」
「フロアで怒号が飛んだ回数」
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すると、おそらく高いパフォーマンスが出た日(あるいは出なかった日)にはある種の傾向が見える
高い場合はその傾向を維持すれば良い
低い場合はそれを誘発する因子を潰せばよい
おそらく「打ち合わせや割り込みは少ない方がいい」「1日2回までならいい」「午前か午後のどちらかに偏ると問題ないがどちらにも分布すると落ちる」といった傾向が出る
傾向がデータとして示されているので説得力もある
以下は撤廃する
勤怠管理
工数管理
日報や週報
朝会、その他週次報告など諸報告
(ただし雑談などグルーミングやチーム全体の方向性の調整や難しい課題の検討など「議論」まで省くことは意味しない) ---
上記モニタリングさえしていれば高いパフォーマンスの維持は可能なので、従来の管理は要らない
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