脳・心・人工知能〈増補版〉の目次と見出し
脳・心・人工知能〈増補版〉 数理で脳を解き明かすの目次、見出し
第1章 脳を宇宙誌からみよう
脳を考えるにあたって、 まずは脳がいつどのように誕生したかをみていこう。その起源をたどるには、 宇宙のはじまりを知らなくてはならない。生命が脳を持ち、 人に 「心」 が宿ったのはなぜなのだろう。
ビッグバンと物理の法則
地球の誕生
生命のはじまりと進化
そして、脳が作られた
人類の歩み
人はどうして「心」を持ったか
脳がもたらす新たな文明
第2章 脳とはなんだろう
私たちの脳には1000億もの神経細胞が詰まっていて、それが思考を担い、心を司っている。 そもそも脳とは、 どのような器官なのだろうか。最新の研究で明らかになってきた脳のメカニズムを紹介しよう。
思考を担う脳の“コンピュータ”の仕組み
1000億ものニューロンは何をしているのか?
シナプスは会話する
自己組織化と臨界期のふしぎ
大脳皮質は並列のコンピュータである
記憶は脳のどこにあるのか
記憶の定着と瞬きの理由
脳細胞は新生しない?
脳が行っている3つの学習システム
脳波にはなぜリズムがあるか
さまざまな脳の測定方法
人の脳活動はどうやって測るか
脳の情報を読み解く技術
シミュレーションで脳は理解できるのか
第3章 「理論」で脳はどう考えられてきたのか
現在ブームとなっている人工知能は、 脳にヒントを得て1950年代に提唱された理論モデルから誕生したものだ。 「理論」 で脳の仕組みを考えるとは、どういうことなのか。 その歴史をたどってみよう。
脳の理論、 その前史
第1次ニューロブーム──万能機械パーセプトロンの勃興
「暗黒期」に確立した確率的勾配降下学習法
第2次ニューロブーム──ニューロコンピュータへの夢
Column 国際学会の政治とニューロブームの終焉
第3次ニューロブーム──ニューラルネットワークの逆襲
数学で脳を考えるということ
第3の脳科学シミュレーションの挑戦
第4章 数理で脳を紐解く(1)~神経興奮の力学と情報処理の仕組み
数学の理論を使って脳の仕組みを考えるのが 「数理脳科学」 である。本当にそんなことができるのか、 数理の世界を披露したい。 神経回路はどのように興奮し、 記憶はどうやって蓄えられるのだろうか?
神経の興奮をマクロに見る──統計神経力学とはなにか
短期記憶の保持の仕方を考える
ニューロンは人間社会と同じ?
回路集団をさらに結合しよう
脳はカオスを利用する
神経場の興奮力学
海馬は情報の「関連性」 を記録する
まとめたパターンを想起するには
海馬は連想記憶装置である
ホップフィールドの提案
時系列の想起
【Column 30年前に起きたネット炎上事件
第5章 数理で脳を紐解く(2)~「神経学習」の理論とは
前章に続いてこの章では、 数理の視点から、 脳がどのように学習するのかを考えてみよう。 これは、 最近注目を集めている人工知能の「ディープラーニング(深層学習)」 の基礎になっている理論である。
ディープラーニングの基礎となった学習法
世界初の多層パーセプトロンの確率的勾配降下学習
パーセプトロンは万能なのか
万能機械の問題点
実際の脳はどう学習しているか
パーセプトロン余話
強化学習で戦略を立てる
強化学習の教師信号はドーパミン?
「教師なし」の学習とは自己組織化学習
【Column] ノーベル賞とニューロブーム
脳は自己組織化する
ニューロンはどうやって “相手” を探すか
時間情報を入れたヘブ学習
スパース表現とはなにか
【Column 論文の掲載の決め手は運次第?
第6章 人工知能の歴史とこれから
人工知能ブームは過去に何度も訪れているが、 技術がさらに発展すれば、人工知能が人間を超える 「シンギュラリティ」 が本当にやってくるのではと騒がれている。 その歴史を振り返り、 未来を考えてみたい。
人工知能の誕生と第1次ブーム
「フレーム問題」をどう克服するか
役に立つ人工知能を目指して第2次ブーム
人々を驚かせたIBMワトソンの能力
第3次ブーム
ディープラーニングの登場
ディープラーニングの仕組み
世界からの参入で進む技術革新
「猫細胞」と「ジェニファー・アニストン細胞」
【Column 囲碁・将棋と人工知能
2045年問題 —人工知能は人間を超えるのか
第7章 心に迫ろう
これまでみてきたように、 脳の仕組みが次第に明らかになってきている。だが、 脳科学の最終的な目標は「心」 を知ることである。それが叶えば、心を持つ人工知能が誕生する日も訪れるのだろうか?
心の理論 何歳で 「心」 ができる?
3つのゲームで自分の心を試してみる
葛藤する心
意識はどこから生まれるか
意識の統合情報理論
「自由意志」は存在するか
先読みと後付け 我々は脳から自由になれるのか
意識、感情、心
心を読む 脳と機械を結ぶ技術BMI
心を操作することも可能になる
心を持つロボットは生まれるか
<増補>
第8章 現代AIの基本技術 ~深層回路網と生成AI
本章からは、2025年に加筆したパートとなる。 ここ数年の大きな進歩として、生成AIという新技術が登場したことが挙げられる。 その仕組みをできるだけわかりやすく説明し、 驚異の性能を紹介しよう。
生成AIの登場とその仕組み
深層神経回路網の空間は驚異の性質を持つ
パラメータの空間と関数の空間
同値類と特異構造
ランダム結合の深層回路網と神経接核理論
巨大パラメータ数大きいことは良いことか?
強化学習とアルファフォールド
画像生成AIの仕組み
大規模言語モデルの驚き
第9章 心と意識 ~AIは心を持つか
心とは、 我々の駆動力である。 永い進化の過程を経て人間は心を持つようになったのだから、 AIに心の機能を持たせることも不可能とはいえまい。 そのときに問われる問題についても、 考えてみたい。
意識と心
AIの意識
AIは「理解する」ようになるか
心を持ったAI
驚嘆したChatGPTの回答例
第10章 AI時代の文明と社会
急速に進むAI技術をどう利用して、 どのようなすばらしい未来を設計していくのか。 現代に生きる我々全員に課された大きな問題である。人間の本質を見つめ直し、考えていかなければならない。
AIをどのように利用していくか
AI主導の理想的な未来
変わっていく人間の仕事
AIの生み出す害悪
教育の重要性
新しい文明をどのように作っていくか
解説 〈数理脳科学が切り拓いた人工知能への道〉合原一幸(東京大学特別教授/名誉教授)