第6回 アドリブソロ その6
http://www.catfish-records.com/nyumon/6/6.jpg
Percy Heath (b)
Albert Heath (ds)
1,2,4,5,6:
1960年1月26日録音
3,7,8:
1960年1月28日録音
1. エアジン
2. D-ナチュラル・ブルース
3. ポルカ・ドッツ・ムーンビームス
4. フォア・オン・シックス
5. ウエスト・コースト・ブルース
6. ユア・オウン・スウィート・ウェイ
7. ミスター・ウォーカー
8. 風と共に去りぬ
ギタリストはポピュラー音楽の花形ですね。ロックバンドだとボーカルの次に目立つ存在であり、曲づくりにおいても中心となることが多い。しかしジャズの場合は、サックスやトランペットから一歩引く存在で、コード(和音)で伴奏ができてソロもできるということで、ピアノに近い役割を担っています。音色の点でも、ロックのように鋭角的ではなく、まろやかな音が使われます。 また、ミュージシャンのキャラクタを見ても、ロックのギタリストには華やかな「スター」がそろっていますが、ジャズの場合は、Wes Montgomeryを筆頭として地味な人が多い。 こうやって言われるとジャズギターに対する魅力がないように思うかも知れませんね。実際、僕はこのアルバムの魅力、いや凄さに気づくのにずいぶん時間がかかりました。その凄さは、これまで紹介してきたアルバムと同様、アドリブソロのメロディにあるのですが、ジャズギターに対する先入観が真剣に聴くのを邪魔していました。 僕はこのアドリブソロを聴くと、名文を読んでいる、あるいは名演説を聞いているような充実感を感じます。フレーズにリズム感と腰の強さがあるからでしょうか。リズム感と言ってもいわゆる「ノリの良さ」ではなく、名文や名演説にある言葉のリズムに近い。 外連味のない抑制の効いた演奏なのに、気がついたら感情が高ぶり強い共感を覚えます。それは、共感したいと思っている人が思わず「イェーイ」と叫ぶ類のものとは違って、最初は斜に構えていた人が思わず右手を差し出してしまうような、「説得力」みたいなものです。
ジャズミュージシャンは、楽器から出す音がすべてという意識が特に強いように思います。だから飾り気がないので、大人向き。また、「知的」と言われることもありますが、言うべきことを過不足なく言うところ、そして、陶酔的ではなく覚醒的なところが知的に見せるんじゃないかなぁ。