第4回 アドリブソロ その4
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Jimmy Garrison (b)
G.T. Hogan (ds)
1961年3月14日録音
1. サムタイム・アイム・ハッピー
2. ブルース・イン・ザ・クローゼット
3. グリーン・ドルフィン・ストリート
4. アローン・トゥゲザー
5. マイルストーンズ
6. スピーク・ロウ
さて、いま「ジャズらしい」と言いましたが、その「ジャズらしさ」が何か、具体的に考えてみましょう。
Walter Bishop Jr.のピアノは、投げやりな感じで弾いているにも関わらず、音に「重さ」や「粘り」を感じます。これは普通われわれがピアノという楽器から受ける印象とはかなり異質なものです。その結果、洗練された今の音楽からは絶対に感じられない「荒っぽさ」や「土臭さ」が感じられます。 ところで、ジャズが好きだと人に言うと、よく「渋いね」と返されます。この「渋さ」も世間一般の「ジャズらしさ」の典型例でしょう。これは、現代消費文明の華やかさ、きらびやかさとは異なるものをジャズに感じているということですね。
そのような「異文化」としての印象も、ジャズの魅力のひとつでしょう。飲み屋でジャズが流れるのは、ジャズのそんな魅力が「非・生活感」の演出の小道具になりうるからだと思います。また、若い人がジャズに興味をもつのも、このような異文化的印象がきっかけになることが多いのではないかな。
しかし、ジャズと長くつきあってきたファンは、そのような印象としての「ジャスらしさ」からもう一歩、中に踏み込んで聴いているように思います。つまり、ジャズをなにか生き生きとしたもの、生々しいもの、ときにはギラギラしたものとしてとらえていて、「渋いもの」としては聴いていません。
『スピーク・ロウ』は、そのことを実感するのに最適なアルバムです。ゴツゴツした岩の表面を割ったら出てくる宝石の原石のようなアドリブソロを聴き込んで欲しいと思います。 「家でお酒を飲むときにジャズでもかけてちょっと雰囲気変えてみるか」とか「若い頃、背伸びしてジャズ聴いてたなぁ(しみじみ)」で終わらせるのはあまりにもったいない、と思わせるだけの魅力がジャズにはあると思います。