小さく始めてメモの習慣化が大事
すべてはメモから始まる。
ダ・ヴィンチのノートなどが有名ですが、いつでも持ち歩き、思いついたことを即座に書き留めるノートは、飛散しがちな自分の「思い」を留めておくのに役立ちます。そうして書き・留めた「思い」はそれ自身で役立つというよりも、後々の「考える」の材料として(あるいは対象として)役立つことが期待できます。
今すぐ使うのではなく、「今はこれについてじっくりと考えている時間がないので、また後にしよう」という一種の先送り(よく言えば未来へのパス)として機能するのです。
人間の「思い」は意識的にはコントロールできませんが、それが知覚に影響を受けることは間違いありません。
つまり、何を「目に入れる」のかで、何を「思う」のかを擬似的に方向づけられます。
このラジアルなマップは、その特性を最大限に活かすノーティングの技法です。
なぜなら、人の「思い」は連想的に働き、一つの事柄に対して複数の要素を思い浮かべるからです。
上下から左右に向かう一次方向の記述では、この多様な広がりをキャッチできません。
一つの「思い」が複数の連想を呼び、それぞれの連想が、さらなる連想を呼び込んでいく。そのように、自らの「思い」を洗い出していくために、ラジアルなマップは使えます。
「思い」を明らかにしたら、次は「考える」です。
自分の頭に浮かんできたものに、意識的に知的作用を向けていくターンとなります。
そこで行われる行為は、整理・発想・分析・検討・統合・メタ化とさまざまな呼び方がされますが、ここではそうした分類には立ち入らず、ノーティングの観点からのみ検討していきましょう。
まず、一番シンプルな技法が「再び読むこと」です。
自分が書き留めた「思い」を、時間が経ってからただ読み返すこと。
これだけでも思考が発動します。なぜでしょうか。
簡単に言えば、最初に思いついたときの自分と時間が経った後の自分が異なる存在だからです。
一般的に、計画の立て方にはフォアキャストとバックキャストの二つがあります。
フォアキャストは、これまでがこうなってきたから未来はこうなるだろうと帰納的に考え、だったらどんな行動が必要になるかを決めるアプローチです。
一方バックキャストは、「こういう未来を目指したい」という理想を立て、それを実現するためにはどんな行動が必要なのかを考えるアプローチです。
もちろん、後者のアプローチでは理想が実現する保証はありませんが、前者であっても過去と同じ状況がずっと続くわけではない点で不確実性を備えています。
よって、どちらの方式で計画を立てたとしても、やはり間違いがありうるのです。
人間の直感的なバイアスを抜きにしてすら、計画には不完全性があります。
だからこそ目標を立て、それを実現するために必要な行動のリストを作ったとしても、常にそれを修正していくことが有用です。
忘れることのメリット
人間はどんどん忘れていったり、都合よく記憶を変えてしまうことが頻繁に起きます。
もちろんそれは生物的な不具合ではなく、単にそうであった方が生存に適しているからです。
もし不都合な記憶をまったく忘れられないなら、一度絶望を経験した人は二度と立ち直れないことになります。
だから、脳が忘れる機能を有しているのはよいことなのです。
だからこそ、覚えておきたいことはノートに記しましょう。忘れる脳、覚えるノートの役割分担です。
とにかくメモの習慣これ大事。