ルール要素について
ルール要素とは
パズルのルールを1要素ごとに取り出したものです。
しろまるくろまるを例に取ると
盤面に黒丸か白丸を書き込む
黒丸の分断禁
白丸の分断禁
黒丸の2*2禁止
白丸の2*2禁止
このように、要素ごとに取り出すことで、パズルを横断したルールの比較や検討を行おうという試みです。
黒マス配置パズルのルール要素
「黒マス配置パズル」と呼ばれるジャンル、
へやわけやぬりみさきなど、盤面のいくつかを黒く塗るパズルはパズル間で共通する要素が多そうに見えます。
大きく分けて、黒マスを離すパズルか、ひとつながりにするパズルに分けられる、などと聞いたこともあります。
https://gyazo.com/25a4a8a40f2df50b1c33e9f52b97e792
そこで、実際に黒マス配置パズルのルールを整理した表を作りました。
この先はこのシートについて解説していきます。
黒マス配置パズルについて
ここでは、なるべくルールの共通要素を取り出すため、黒マス配置パズルの定義を広く取り、
盤面を2色に塗り分けるパズル
としました。
https://gyazo.com/8a777397761a1439611dacf89294a48b
▲ぬりかべ
例えば、
スターバトル
星を黒マス扱い
美術館
照明を黒マス扱い
バトルシップ
戦艦を黒マス扱い
スリザーリンク
ループの内側を黒マス扱い
とすることで、黒マス配置パズルへと変換することができることから、
単一種類のオブジェクト配置パズルやマスの外側にループを作るパズルなども黒マス配置パズルに含めています。
(配置の項目で何を黒マスとみなしているかを書いています。)
ヤジリンは通常ループパズルとして扱われますが、黒マス配置パズルの観点からみると、
通常の黒マス配置パズルに、
白マスは全通過ループを構成する
というルールが足されたものという扱いになります。
また、盤面上で黒マスとも白マスとも見なさないマス(ヤジリンの数字のあるマスなど)を灰マスと呼ぶことにしています。
何が嬉しいのか
このシートの使い道について考えます。
ルールを確認したい時に
既にパズルに慣れた人なら共通するルールの要素をまとめてあるため、ルールの確認の理解が早いかもしれません。
新しいパズルを作る時の参考に
一覧を見ていくと、まだ試されていないルールの組み合わせや掘れそうな部分が見つかるかもしれません。
相性の良いルール
パズルを想像しながらシートをみていくと、なんとなくそれぞれのルールのバランス感覚が見えてくるかもしれません
新規ルールの既出チェック
似たルールがないか検索をかけることができます。
ルール文の参考に
新しいルールを考えた時、似たパズルのルール文を参考にすることができそうです。
パズル当てゲーム
質問からルールを当てるakinatorみたいなことができそうです。
ツール作りの補助に
ルールの独自部分のみの記載でソルバーやプレイヤーが作れるようにするための整理に使えるかもしれません
拡張しよう
先ほど、盤面を2色に塗り分けるパズルを黒マス配置パズルとして定義しましたが、
2をNに変えると数字埋めパズルになるし、
フィルオミノのように同じ数字を1つの領域としてみると数字埋めパズルは領域分割パズルになるし、
領域分割パズルの境界は線を引くパズルになる、と他のパズルジャンルも似たような要素として分類できそうです。
先ほど挙げた使い道もほとんどは黒マス配置パズルに限らない。
というわけで他のパズルジャンルも整理したくなってきました。
パズルのジャンル分け
まずはパズルをジャンル分けするところから始まります。
ジャンル分けをどのように考えたかについて書いたら長くなったので別記事としてあげますが、
盤面に何を書き込むかを元に分けるのが良さそうです。
黒マス配置系
盤面のいくつかのマスを塗って黒マスにするパズル
線引き系
盤面に線を引いてループやパスなどを作るパズル
物体配置系
盤面にポリオミノや記号などの物体を配置するパズル
領域分割系
盤面に線を引いていくつかの領域に分けるパズル
数字埋め系
マス目に数字や記号を埋めるパズル
そして、5ジャンルから除外したパズルには以下がありました。
ワード系
言葉や漢字を利用したパズル
例
セレクトワーズ / よみどおり / 推理クロス / タめいロ / ナンクロ / アンドレ / クロスワード / リンクワーズ / シークワーズスケルトンパズル / Scrabble / ネットワーズ / 漢字部品マット / カナオレ
格子以外のパズル
正方格子・六角格子・三角格子などの規則的に並んだマスの形をしていないパズル
例
虫食い算 / 覆面算 / 推理パズル / Balancing Act / 同じの探し
メタ
ルール自体が変化するものや、ルール自体の特定、「あるルールで解けること」自体がルールに含まれたりなど、高次のルール要素を用いたパズル
ルール要素をメタ的に利用するため、通常のルール要素一覧とは別に管理します。
例
Instructionless / 気になるお隣さん
線のパズルのルール要素
そして、今回新たに線引き系パズルのルール要素一覧を作成しました
パズルスクエアに掲載されているパズルをソースとしたのですが73件ありました。多い。
分類項目
73の線引き系パズルをまずはこのように分類しました。
共通
特にルール要素で指示がない限り、線が重なって同じ線を二度通るといったことはありません
形状
LOOP (ループ)
盤面に線を引いて、枝分かれのない輪っかを作るタイプのパズルです。
PATH (パス)
盤面に枝分かれのない線を引くパズルです。始点と終点があります。
GRAPH
LOOPにもPATHにも属さない線引き系パズルです。このうち、内部にループを持たないものをTREEと分類することもあります。
https://gyazo.com/54a3fdbf566a75d5e7f02e08899f92b1
個数
1
全体でパスやループが1つだけになるパズルです。
2
2個のループを作るパズルが1つありました。
複数
ループやパスの個数がルール文で定められていないパズルです。
交差
TRUE
パス、ループが盤面内で交差します。明記がない限り、あるマスや格子点上で線が交差する場合、それぞれの線は交差時に直進します。
FALSE
パス、ループが盤面内で重なりません。
有向
TRUE
線が向きの概念を持っています。
ループ系パズルの場合、スラロームのように通る順番が表出される時に向きの概念が発生します。
1本のパスを作るパズルの場合、スタートからゴールまで線を伸ばす迷路のようなパズルになります。
ヘルゴルフのように、いくつかの丸を動かして解く移動系ペンシルパズルは、複数本有向パス系線引きパズルと分類できます。このカテゴリに属するパズルはほぼ全てが移動系です。
FALSE
線が向きの概念を持っていません。
全マス通過
TRUE
線が全てのマスを通る必要があります。
FALSE
通らないマスがあっても構いません。
基準点
マスの中心を通る線を引くか、格子点を中心とした線を引くかの基準点を記載しています。
曲がり方
格子(マスの並び)に沿って直角に曲がる、点同士をまっすぐ結ぶ(自由線)などのパターンがあります。
あとはそれぞれの表出記号のルールと全体制約が並んでいます。
所感
まとめていて気づいた点をいくつか挙げてみます。
線引き系パズルの内訳
全73のパズル種のうち2種類以上あるパズルを挙げてみると
table: 種類別問題数
ループ (単一無向無交差非全マス通過) 24種
移動 8種
複数パス 7種
全マス通過ループ 4種
有向ループ 4種
交差ありループ 4種
複数ループ 3種
単一交差あり有向パス 3種
交差あり全マス通過ループ 2種
交差あり複数ループ 2種
交差あり複数パス 2種
(記載のないものは 単一 / 無向 / 無交差 / 非全マス通過です)
投稿数の多いパズル、ヤジリンやましゅ、スリザーリンクが属する
単一無向無交差非全マス通過ループが全体の1/3程度を占めていました。
人気の割には少ない?
ループと単一が相性良い
ループはある点からスタートして線を引いていった後、元の場所に戻ってこないといけないため、
一様に盤面を埋めるような単一ループとはちょうどいいが、
複数ループで交差を許容しないと、窮屈な感じになってしまう。
交差を許容して複数ループを作るパズルの基本的な形が「環状線スペシャル」なのかも。
複数ループのパズルが少ない、というよりも複数ループは複数パス(移動系パズル)の特殊系とみた方がよいかもしれません。
アイスウォークが面白い
記事の内容とは直接関係ないのですが、まとめている途中に出会ったアイスウォークというパズル、
たった6問しか投稿されていないけれど、手筋や可能性を感じます。
ループパズルなのに、壁が作られていく物体配置のような解き心地。
もっと流行れ!
最後に
今回、パズルスクエアの最多ジャンルの線引き系をまとめたけれども、
パズルスクエア以外の線引き系、他のジャンルのまとめも随時作っていきたいですね、
この表がお役に立つことがあれば幸いです。
面白い発見等あればぜひTwitterで教えてください。
まとめのまとめ