水は迷路を解ける
実験の方法は簡単です。
1. まず、マウスに迷路を解かせるのに使うのと同じような、壁で区切られた迷路を準備します。水が溢れないように、入口と出口は一旦ふさぎます。
2. スタートには蛇口を、ゴールには排水口を付けます。
3. 蛇口からゆっくりと水を出します。
4. しばらくすると、水は迷路全体にゆきわたります。
5. さらに待つと、余剰な水は排水口から出ていきます。
6. 定常的に水が流れるようになった経路が、その迷路の答です。
驚くべきことに、水は、粘菌と同じように、まずすべての経路をくまなく探査し、それから自発的に最も短い経路を見付けだします。経路を可視化したければ、インクを数滴たらしてみると良いでしょう。
え?どういうこと?
粘菌と同じぐらい水もすごい能力を持っているの?と思っていただけると、私もイグノーベル賞をもらえるのですが、事実はそうではありません。実は、迷路を解く問題というのは、難しそうに見えて、実は非常に簡単な問題なのです。 最短経路問題は難しい問題だって聞いたけど、という方もいらっしゃるかもしれません。確かに、ある種の最短経路問題(巡回セールスマン問題など)は非常に難しく、計算科学の最難問に位置付けられます。一方、迷路の解法はこれらとは別種の問題で、非常に簡単な解法がいくつもあります。
粘菌が迷路を解けるのは、粘菌がすごい能力を持っているからではなく、迷路を解く問題が簡単だからです。
Cited
実証実験
https://youtu.be/nDyGEq_ugGo
粘菌で巡回セールスマン問題を解いて見せてくれれば、本気で賞賛します。