集団内葛藤
集団内葛藤は、 Guetzkow & Gyr (1954)によってその概念が提案されて以降、葛藤を関係葛藤と課題葛藤の2種類に分けたうえでそれぞれの効果が検討されてきた。
価値観や対人関係の軋轢により認知される
緊張感、不快感、敵対意識といった感情を伴い、集団の意思決定の質や集団に対する感情的コミットメントを低下させる(e.g., Jehn, 1995)。
メンバー間の意見の対立により認知される。
適度な課題葛藤は討議内容の認知的理解を促進させ、その結果として集団決定の質を向上させるとともに、集団決定への満足度や集団にとどまりたいという欲求を高め、集団に対する感情的受容を促進する(e.g., Hollenbeck, ligen, Sego,Major,& Phillips,1995; Peterson & Nemeth,1996; Tjosvold, Hui, Ding,& Hu, 2003)
ただし持続時間が長い場合や、葛藤の程度が極端に高い場合は、集団のパフォーマンスを低下させることも明らかになっている(Carnevale & Probst, 1998)
関係葛藤と課題葛藤は正の相関関係がみられる
両者の相関関係の傾向に関する先行研究のレビュー(Simons & Peterson, 2000)によれば、2種類の葛藤を測定した11件の研究のうち10件でおおむね中程度以上の正の相関関係が見られている。日本国内の13企業を対象に2種類の集団内葛藤を測定した村山・大坊(2008)でも、中程度の正の相関関係(r=.57)が見られた。
2種類の集団内葛藤が正の相関関係をもつ原因について三つの可能性が指摘されている(Simons & Peterson, 2000)
Simons& Peterson (2000)は、メンバー間の信頼を媒介変数とした検討を行い、メンバー間の信頼の程度が高いほど課題葛藤と関係葛藤の関連が弱くなることなどから、(1)の可能性が最も妥当であると結論づけている。
(2)強い課題葛藤が関係葛藤を引き起こす
(3)当事者が関係葛藤を課題葛藤へと誤認知する
課題葛藤にはポジティブな効果があるmtane0412.icon
議論することのポジティブな効果
一方で、課題葛藤が多い組織は関係葛藤も多い
課題葛藤を関係葛藤に誤認知する
関係葛藤はネガティブな効果が目立つ