袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ
from 100分de名著 古今和歌集
袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ
紀貫之、古今和歌集・春上・2。詞書「春たちける日よめる」
夏~冬~春立つ日までの時間が内包されている歌cFQ2f7LRuLYP.icon
袖ひちて結びし水:夏。袖を浸して、手を結んで飲む水
水のこほれるを:冬。飲んだあの水が、冬になって凍っていると想像する
春立つけふの風:春、立春。今日この歌を詠んでいるその時。
春の風は氷を溶かす、という伝承があった(礼記、月令「東風解凍」)
今日の風やとくらむ:今日立春の日に吹くこの春風が、今、あの水(夏に手にすくって飲み、冬は凍っていた)をとかしているのだろうか。