種村季弘
種村 季弘(たねむら すえひろ、1933年(昭和8年)3月21日 - 2004年(平成16年)8月29日)は、日本のドイツ文学者、翻訳家、評論家、エッセイスト[1]。
古今東西の異端的・暗黒的な文化や芸術に関する広汎な知識で知られ、クライストやホフマン、マゾッホなど独文学の翻訳の他、内外の幻想小説や美術、映画、演劇、舞踏に関する多彩な評論を展開し、錬金術や魔術、神秘学研究でも知られる。これに関連して、吸血鬼や怪物、人形、自動機械、詐欺師や奇人など、歴史上のいかがわしくも魅力的な事象を多数紹介。他方で幸田露伴、岡本綺堂、泉鏡花、谷崎潤一郎をはじめとする日本文学にも深く通じ、晩年は江戸文化や食文化、温泉文化などの薀蓄をユニークなエッセーに取り上げている。 稀代の博覧強記として知られ、教え子の諏訪哲史は種村を “二十世紀の日本の人文科学が世界に誇るべき「知の無限迷宮」の怪人” と評している(自身が編纂した『種村季弘傑作撰 Ⅰ』『同 Ⅱ』の解説にて)。 仏文学者で評論家の澁澤龍彦との交流でも知られ、澁澤とともに日本における幻想文学のジャンル的な確立に貢献した。