熱烈な恋の歌
殺す派と死にたい派がいる
殺す派
天城越え
誰かに盗られるくらいなら
あなたを殺していいですか
君が行く 道のながてを 繰り畳ね 焼きほろぼさむ 天の火もがも
万葉集巻15‐3724、狭野弟上娘子
あなたの通る長い道をくるくる巻いてしまって、焼き滅ぼすような天の炎がほしい。
夫の中臣宅守が越前国に配流されたときに詠んだらしいcFQ2f7LRuLYP.icon
死にたい派
今日を限りの命ともがな
「お前のことをいつまでも忘れないよ」と言われたけど、それが本当だと信じられないから今日死んでしまいたい
玉の緒よ絶えなば絶えね ながらへば忍ぶることの弱りもぞする
命などいっそ絶えるのなら絶えてほしい。恋を忍ぶ気持ちが弱るかもしれないので。
見てもまたあふよまれなる夢の中に やがてまぎるるわが身ともがな
逢ったところで次に逢うのもまた稀、夢の中のようなものなので、いっそその中でまぎれて消えてしまうような身であってほしい。