活用と付属語
命名についてはいくつか未整理な部分がある。例えば「どこまでを語幹とし、残りの部分をどのような形態素として解析するか」については、いまのところ学校文法を含む文法理論において未解決であり、いくつかの批判がある。 活用の分け方には全体的に問題がある
個別に問題を考えていたら最終的に「全体的に問題がある」と要約できる程度には広い範囲に問題があることがわかった
1. 未然形に分類される活用の中で「う」にしか接続しない物がある。
2. 形容詞の未然形「-かろ」は「う」にしか接続しない。
3. 形容詞の連用形「-く」は、未然形に接続する助動詞とされる「ない」に接続する。
2. サ行変格活用の未然形が「未然形」でまとめられるほど統一的なものではない。
3. 連用形に分類される活用の中で音便は「て(で)」と「た(だ)」にしか接続しない。
4. 終止形と連体形の形が動詞と形容詞の全てにおいて同じである。
実質的に形容動詞でしか意味をなさない分類になっている。
5. 形容動詞の活用と全く同じ単語があるため、形容動詞という区分けそのものの存在意義が疑わしい。
table:形容動詞の活用と名詞+だの活用
これで良くない?
鮮やかだろう 鮮やか+だろ+う
一升瓶だろう 一升瓶+だろ+う
鮮やかだった 鮮やか+だっ+た
一升瓶だった 一升瓶+だっ+た
鮮やかである 鮮やか+で+ある
一升瓶である 一升瓶+で+ある
鮮やかだ。 鮮やか+だ。
一升瓶だ。 一升瓶+だ。
鮮やかな物 鮮やか+な+物
―
鮮やかならば 鮮やか+なら+ば
一升瓶ならば 一升瓶+なら+ば
そもそもなぜ活用形がこのように分けられたのだろう。
概ね五段活用で分類を作成して、活用形の説明は五段活用に基づいてなされる事が多い。
五段活用以外では不成立な説明が見られる
特に一段活用
下付き数字は甲類乙類
table:動詞の活用
幹 未然 連用 終止 連体 已然 仮定 命令 合流
新 カ変 k- -o -i -ur-u -ur-u -ur-e -oi ┐
旧 カ変 k- -o₂ -i₁ -u -ur-u -ur-e -o₂/-oy-o ┘
新 サ変 s- -a/-i/-e -i -ur-u -ur-u -ur-e -ir-o/-ey-o ┐
旧 サ変 s- -e -i -u -ur-u -ur-e -ey-o₂ ┘
旧 ナ変 n- -a -i -u -ur-u -ur-e -e ┐
旧 ラ変 r- -a -i -i -u -e -e │
旧 四段 - -a -i₁ -i -u -e₂ -e₁ │
新 五段 - -a/-o -i/便 -u -u -e -e │
旧 下一 e e er-u er-u er-e er-o ┘
新 下一 e e er-u er-u er-e er-o/ey-o ┐
旧 下二 e₂ e₂ u ur-u ur-e e₂y-o₂ ┘
旧 上二 i₂ i₂ u ur-u ur-e i₂y-o₂ ┐
旧 上一 i₁ i₁ i₁r-u i₁r-u i₁r-e i₁y-o₂ │
新 上一 i i ir-u ir-u ir-e ir-o/iy-o ┘
table:サ変動詞の活用
幹 れる ず 連用 ない 終止 連体 已然 仮定 命令
せる
新 サ変 s- -a -e -i -i -ur-u -ur-u -ur-e -ir-o/-ey-o
table:五段動詞の活用
幹 未然 う 連用 て/た 終止 連体 已然 仮定 命令
新 五段 - -a -o -i 音便 -u -u -e -e
table:音便
行 ヤカ ガ サ ザ タダワラ ナ バマ
て i te i de si te zi te t te n de m de
た i ta i da si ta zi ta t ta n da m da
table:形容詞の活用
未然 連用 終止 連体 已然 仮定 命令
新 形容 k-ar-o k-at i i k-er-e k-ar-e
k-u
u 古風な言い回し
旧 ク k-u k-u si k-i k-er-e ✕
上代 ク k-e₁ k-u si k-i₁ k-e₁r-e
k-e₁
旧 シク sik-u sik-u si sik-i sik-er-e ✕
上代 シク sik-e₁ sik-u si sik-i₁ sik-e₁r-e
sik-e₁
旧 カリ k-ar-a k-ar-i ✕ k-ar-u ✕ k-ar-e
旧 シカリ sik-ar-a sik-ar-i ✕ sik-ar-u ✕ sik-ar-e
旧 ラ変 ar-a ar-i ar-i ar-u ar-e ar-e 「あり」の活用
table:形容詞の活用
ない
う 連用 連用 た 終止 連体 已然 仮定 命令
新 形容 k-ar-o ku k-at i i k-er-e k-ar-e
u 古風な言い回し
table:形容動詞の活用
仮定 未然 連用 終止 連体 已然 命令
新 ニナ d-ar-o d-e d-a ✕ 「で」+「ある」
d-at 音便
n-ar-a n-i n-a 「ナリ」が縮約
新 丁寧 ✕ des-yo des-i des-u (des-u) ✕
新 タルト ✕ ✕ t-o ✕ t-ar-u (t-ar-e) 「タリ」が残った
旧 ナリ n-ar-a n-ar-i/n-i n-ar-i n-ar-u n-ar-e n-ar-e 「に」+「あり」
旧 タリ t-ar-a t-ar-i/t-o t-ar-i t-ar-u t-ar-e t-ar-e 「て」+「あり」
旧 ラ変 ar-a ar-i ar-i ar-u ar-e ar-e 「あり」の活用
table:形容動詞の活用
仮定 う 連用 て/た 終止 連体 已然 命令
新 ニナ d-ar-o d-e d-at d-a ✕ 「で」+「ある」
n-ar-a n-i n-a 「ナリ」が縮約
新 丁寧 ✕ des-yo des-i des-u (des-u) ✕
新 タルト ✕ ✕ t-o ✕ t-ar-u (t-ar-e) 「タリ」が残った
一 ( 「でさうらふ」の下略「でさう」が変化したものといわれる )
丁寧な断定の意を表わす。
…でござる。
狂言で、主に大名・鬼・山伏(ときに奏者も)の名乗りなどに、尊大の語感をもって用いられる。
初出の実例
「罷出たる者は、東国にかくれもなひ大名です」
(出典:虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初))
二 ( 「でござります」→「でござんす」→「であんす」→「でえす」→「です」の経路で生じたものという )
丁寧な断定に用いる。
(イ) 江戸中期は、遊女・男伊達・医者・職人など限られた人々の間でほとんど文末の終止にだけ用いられた。
でげす。
初出の実例
「まひ日出ましたれど、いまはこころまかせのしゅぎゃうです」
(出典:咄本・軽口機嫌嚢(1728)一)
「吾儕(わちき)に限っちゃア大丈夫ですワ〈略〉身につまさるるやうですねへ」
(出典:人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)初)
(ロ) 江戸末期、助動詞「だ」の丁寧体として、終止形以外に未然形「でしょ(う)」、連用形「でし(た)」などの活用形や、「ですが」「ですから」などの用法が一般化した。
明治以前は遊里、芸人の語とされ、明治以後、広く用いられるようになったものの、しばらくは上品でない語感を保ち、現在でも、「です」より一段丁寧なものとして「でございます」が用いられる。
初出の実例
「駒はんはとんだことでしたネ」
(出典:人情本・春色玉襷(1856‐57頃)初)
「何ですネヱ。お待なさいよ」
(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一)
「腰を掛けて居るのは、前回に見えた蝴蝶といふ少女です」
(出典:蝴蝶(1889)〈山田美妙〉二)
「漸く一本立となったです」
(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉電影)
(ハ) 「ば」「から」「て」などの助詞を伴う接続の語句を受けて文を終止し、また、間投助詞のように連用または接続の語句につけて用いる。
「たとえ僕がですね、どんなに説明してもですね、納得してくれないでしょう」
初出の実例
「なぜかといふと〈略〉馬と荷車が置いて在ったからです」
(出典:小公子(1890‐92)〈若松賤子訳〉前編)
「私はこのどうしやうもない事実を、その時初めてほんとに心で掴んだのでした。〈略〉しかしです。〈略〉私にとっては、きさ子は二十になってゐないとも言へるのです」
(出典:青い海黒い海(1925)〈川端康成〉第一の遺書)
ですの語誌
( 1 )明治に入って「です」体をとる洋学会話書の出版が続き、「です」の普及の先駆けを果たしたともいわれる。活用語に接続する例は幕末期にも散見するが、明治二〇年代には「でしょう」の使用が普通になった。
( 2 )「です」は「だ」「である」と同様、体言、副詞、または活用語の連体形に助詞「の(ん)」を伴ったものに付いて説明の語気を加える。「でしょう」の場合には活用語の連体形に直接して単なる推量を、「でした」の場合には「ません」に直接して単なる過去を表わす。また、終止形「です」も、主として形容詞活用の活用語や助動詞「た」などに直接して丁寧表現として用いることが多い。これらは、動詞のように「です」を伴うことのできないことへの補いとして生じた語法であるが、一般に、活用語が「です」を直接伴うことは標準的とは考えられていない。
( 3 )学校文法では「豊かだ」「平気だ」など形容動詞の丁寧体として、その活用語尾「だ」の代わりに助動詞「です」を用いると説く。
table:助動詞
接続 未 う 用 て/た 終 体 仮 令 活用
五段未然 r-e r-e r-e r-e r-er-u r-er-u r-er-e r-er-o 下一
r-ey-o
一段未然 r-ar-e r-ar-e- r-ar-e r-ar-e r-ar-er-u r-ar-er-u r-ar-er-e r-ar-er-o 下一
r-ar-er-yo
五段未然 s-e s-e s-e s-e s-er-u s-er-u s-er-e s-er-o 下一
s-ey-o
一段未然 s-as-e s-as-e s-as-e s-as-e s-as-er-u s-as-er-u s-as-er-e s-as-er-o 下一
s-as-ey-o
ない ✕ nak-ar-o nak-u nak-at na-i na-i nak-er-e ✕ 形容
ず ✕ ✕ z-u ✕ n-u n-u n-e ✕ 特殊
ず ✕ ✕ z-u ✕ n/m n/m n-e ✕ 特殊
う ✕ ✕ ✕ ✕ u u ✕ ✕ 不変
よう ✕ ✕ ✕ ✕ y-ou y-ou ✕ ✕ 不変
未/終 ✕ ✕ ✕ ✕ mai mai ✕ ✕ 不変
音便 ✕ tak-ar-o tak-u tak-at ta-i ta-i tak-er-e ✕ 形容
連用 tag-ar-a tag-ar-o tag-ar-i tag-at tag-ar-u tag-ar-u tag-ar-e ✕ 五段
連用 yag-ar-a yag-ar-o yag-ar-i yag-at yag-ar-u yag-ar-u yag-ar-e yag-ar-e 五段
た ✕ tar-o ✕ ✕ ta ta tar-a ✕ 特殊
た ✕ dar-o ✕ ✕ da da dar-a ✕ 特殊
連用 mas-e mas-yo mas-i mas-i mas-u mas-u mas-ur-e mas-i 特殊
mas-e
連用 ✕ sou-d-ar-o sou-d-e sou-d-at sou-d-a ✕ 形動
sou-n-i sou-n-a sou-n-ar-a ✕
終止 ✕ ✕ sou-d-e ✕ sou-d-a sou-n-a ✕ ✕ 形動
終止 ✕ ✕ ra-sik-u ra-sik-at ra-si-i ra-si-i/ra-sik-i ra-sik-er-e ✕ 形容
終止 ✕ beki-d-ar-o beki-d-e beki-d-at beki-d-a beki ✕ 形動
bek-u beki-n-a beki-n-ar-a ✕
連体 ✕ y-ou-d-ar-o y-ou-d-e y-ou-d-at y-ou-d-a ✕ 形動
you-n-i y-ou-n-a y-ou-n-ar-a ✕
体言 ✕ d-ar-o d-e d-at d-a (n-a) n-ar-a ✕ 形動
体言 ✕ d-es-yo d-e d-es-i d-es-u (d-es-u) ✕ ✕ 形動
大量の備考
「れる」は、動詞に接続する。また、一部の動詞型の助動詞に接続する。
ア段音の後に付く。(例:放たれる)
サ変動詞に付く場合、「-さ」形につく。(例:熱される)
「たがる」の後に付く。(たがられる)
「やがる」の後につけると「やがられる」となり少々無理がある。
「自発」「可能」の意味の場合、命令形は無い。
「られる」は、動詞に接続する。また、一部の動詞型の助動詞に接続する。
ア段音以外の後に付く。(例:着られる、食べられる)
サ変動詞に付く場合、「-せ」形につく。(例:熱せられる)
「せる」「させる」の後に付く。(せられる、させられる)
「自発」「可能」の意味の場合、命令形は無い。
「せる」は、動詞に接続する。
ア段音の後に付く。(例:放たせる)
サ変動詞に付く場合、「-さ」形につく。(例:熱させる)
「たがる」の後に付く。(たがらせる)
「やがる」の後につけると「やがらせる」となり少々無理がある。
「させる」は、動詞に接続する。
ア段音以外の後に付く。(例:着させる、食べさせる)
サ変動詞に付かない。(付いているように見えるが、「さ+せる」になる)
「れる」「られる」の後に付く。(れさせる、られさせる)
「う」は、
五段動詞に接続する。
形容詞・形容動詞に接続する。
未然形がオ段音で終わる助動詞に接続する。
「よう」は、
五段活用以外の動詞と下一段型の助動詞に接続する。
「ない」は、
動詞と動詞型助動詞の未然形に接続する。
放たない、着ない、食べない、来(こ)ない
れない、られない、せない、させない
たがらない、やがらない
サ行変格活用「-し」に接続する。
しない
形容詞と形容詞型助動詞の連用形に接続する。
なくない、たくない、らしくない
形容動詞と形容動詞型助動詞の連用形に接続する。
そうでない、べきでない、ようでない、でない
そうにない、
table:助詞の接続
接続
連用 たり・だり
つつ
て・で・ても・でも
ながら
終止 が・から・けれど・けれども・し・と・とも
ところで
だの
な・や
に
なり
連体 しか・まで・や
だけ・ので・のに・ほど・まま・ものの
など
なり・に・ばかり・
の・やら
より
仮定 ど・ども・ば
上代日本語発音
品詞(用言)
活用形
活用の種類