小林化工の事件
製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった
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睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。
問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。
爪白癬(水虫)の飲み薬イトラコナゾールが実は睡眠薬だった・・・。
この薬を処方された人が意識消失で転倒する、あるいは交通事故を起こす事例が続きました。調べてみると睡眠導入薬リルマザホンが混入されていたためと分かりました。死者まで出たとのことです。由々しき事態です。
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「ジェネリックの怪しさが露呈した」という意見もあります。その側面はあるかもしれません。しかし、ジェネリックメーカーは先発品メーカーの大手と手を結んでいる場合が少なくありません。
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驚くことに日本で「製造元」とされるのはあくまでも「包装製造元」なのです。「錠剤製造元」は一般に表示されません。ましてや原薬や原料の製造元の表記もありません*。したがって、ジェネリックか先発か、どちらがまともか、という議論も突き詰めるとおかしなことになります。ジェネリックメーカーが先発品も作っている、ジェネリックも先発品も同じ原薬を使っている、原薬は世界の様々な工場に由来する、原薬の元となる原料はどこの誰がどう作っているのか闇の中、だからです。
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ただ今回の事件で「だからジェネリックはダメだ」という意見を聞くと、思わず上記の問題点を指摘したくなるのです。